Thailand
Globetrotter

テクテクタイランド

Khon Kaen / Bangkok / Nakhon Pathom

September 2[Thu], 2010

空中のサッカー! セパタクロー入門

September 2[Thu], 2010

いきなりですが、何を隠そうこのワタクシ、三度のメシよりスポーツが大好き(メシも好きです!)。スポーツは自分でするのはもちろん、見る方もかなり幅広いと自負しているつもりです。野球やサッカーといったメジャーどころから、たとえばバスケに自転車、果てはスヌーカーみたいなマイナー(?)なところまで。でも……セパタクロー?

セパタクロー。知っているようでなかなか知られていないスポーツかもしれません。かく言う私のイメージも、「サッカー+バレーボール」。とてつもなく曖昧。実際見たこともないし。

というわけで今回は、日本の大学サッカーの選手たちが果敢にもそのセパタクローに挑戦する旅、です。兵庫県にある関西国際大学人間科学部人間心理学科でスポーツ心理学を専攻するヒガ君とヒロタ君は、高校時代にはサッカーでインターハイに出場するなど、足には覚えのある(?)お二人。現在はそれぞれ、体育会とクラブチームに所属、ただ、これまで一緒にプレーしたことはないのだとか。

そんな二人が、初めての訪タイでセパタクローを通じてタイ文化を知り、国際交流を図る!というのが旅のミッションとなっております。素晴らしいですね。サッカーとセパタクロー、似てるようでちょっと違いますけど、ひとたびボールを蹴り合えばみんなトモダチ。きっと楽しい旅になるでしょう!

まずはボールと友達に。

September 2[Thu], 2010 05:30

前日の深夜に関西国際空港へ集合して、まずは乗り継ぎのバンコクまでやってきました。今回の編成は、ヒガ君・ヒロタ君という学生二人に、カメラマンと私、という男子四人の構成。色気のかけらも感じられないところがシブいですね。

とりあえず、今回の企画の原案(もともとはサッカーだったらしい)を考えたヒロタ君にセパタクローの印象を尋ねます。「んー、割と簡単なんじゃないっすかねー。案外イケるんちゃいます?」おおー。対してヒロタ君は「あんなに足が上がるかなー?」とすこし心配顔。この二人、アンバランスそうだけど、案外いいコンビなのかも。

空港内で、持参したセパタクローのボールを渡してみると、早速感触を確かめる二人。思っていたより軽くて硬い!という印象だったみたいです。ヒガ君は、靴を脱ぎ、ズボンをまくってリフティング。ヒロタ君は、ボールを投げてもらい、ヘディングの感触を確かめます。蹴った感じは、普段扱い慣れているサッカーボールと全然違っているので少し調子が狂う、とのこと。「でもやるからには絶対勝ちますよ!」と意気込みを見せてました。

というわけで本日はこれから、タイ全国学生セパタクロー選手権大会が催されているという東北地方はコーンケン県へと向かう予定です。

タイでベトナムの朝食といえば。エーム・オート。

September 2[Thu], 2010 07:34

コーンケン空港ではおなじみタイ北部および東北部担当ガイドのエークさんがお出迎え。7時過ぎに空港を出発。気温は28度、雨上がりで少し蒸し暑いですが、大阪に比べると少しマシかもしれません。空港からコーンケン市内まではおよそ8kmの道のりですが、初めてのタイということで、車窓の風景に釘付けになるヒガ君とヒロタ君。

とりあえずお腹がすきましたねということで7時30分過ぎ、まずはベトナム料理の食堂、エーム・オート(食べて幸せになる、という意味らしいです)に到着。何でもこの辺りは、ベトナムからの移住者が多いためベトナム料理がおいしいのだとか。このお店も登校前、出勤前とおぼしき家族連れの姿が多く、なかなかの賑わいです。

そこでオーダーしたのは、白と赤のソーセージが挟まれたホットドッグにカイガタ(目玉焼き)というタイ風ベトナム料理の定番朝食コンビに加え、さらにトム・ルアット・ムー(豚モツのスープ。ごはんがついてます)。機内食に飽きた二人の口にも合った様子で、「毎日こんな朝ゴハンだったらパワー出そう」とのことでした。ちなみにお値段は、ドライバーさん込みの6人でお腹一杯食べても366B。安いです。

地元の素朴な市場をめぐる。チラ・マーケット。

September 2[Thu], 2010 08:15

空腹を満たした後は、コーンケン市内にある普通バスのターミナル(エアコンバスのターミナルは別のところ)の向かいにあるチラ・マーケット内をそぞろ歩き。豚の頭丸ごととか、イサーン料理でよく使われるというナマズなんかが所狭しと並んでいるのを見ると、タイにやってきたなあという感じがしますね。残念ながらこの時は既に営業を終えているお店も多かったですが、あまり観光化されていない素朴な雰囲気が良かったです。

ホテルでしばしの休息。

September 2[Thu], 2010 08:50

ちょっと時間があったので、いまのうちに今夜のホテル、トンワ・リゾートへチェックイン。シャワーを浴び、着替えて1時間ほど小休止。南国リゾート風の設えで、中庭を見渡すことができるテラスがついた優雅なお部屋でした。でもまあたいしてくつろぐ暇もなく、セパタクローの大会会場へ向かうわけですけれども。

タイ全国高校セパタクロー選手権大会!

September 2[Thu], 2010 10:10

ホテルから車で移動すること約10分、ついに大会会場のコーンケン県スタジアムに到着です。お目当ての男子18歳の部・準決勝は11時からということなので、しばらくの間、会場内を見て回ります。

体育館の中には、セパタクロー・コートが2面。到着した時は女子の試合中でした。全国大会とはいえ、日本の甲子園とか、インターハイみたいな緊張感バリバリな感じではなくて、良い感じにユルいですね。

さらに隣の体育館では、フープ・タクローの大会が開催中。こちらもなかなかの盛り上がり。これはわかりやすく言えば、セパタクローのボールを使って、5人一組で輪になってリフティングしながら「玉入れ」をするような競技。天井から吊るされたフープにボールが入る度に、手動でガラガラとフープを下まで降ろすというのが面白いです。ほのぼのした雰囲気の競技ですけど、観客のみなさんはかなり盛り上がってました。

しかし、さすがヒガ君・ヒロタ君は違います。技術的には、やはりセパタクローの方が興味深いとのこと。見ていてうずうずしてきたのか、会場内の大会オフィシャル・スポンサーのブースで公式球を購入。男子と女子では、ボールの重さや大きさが微妙に違うそうですよ。

灼熱の太陽が照りつける中、外の広場でボールを蹴り始める二人。徐々に真剣さを増し、みるみるうちにTシャツに汗が滲んでいきます。11時からと言っていた試合は、なかなか始まりません。

やっと試合がはじまった!

September 2[Thu], 2010 11:00

試合に先立って、バンコク近郊のパトゥムターニーからやってきたスワンクラーブ・ウィタヤライ・ランシット校がウォーミングアップを行っているところへご挨拶に。実はこちらの高校は昨年の優勝校。ナショナルチームに選ばれている選手も所属しているすごいチームなんです。そして、なんと後日学校までおじゃまして、セパタクローの練習に参加させていただく予定になっております。

迎えてくれたのは、プラチャーン監督、ティラサ・コーチ、そして17歳から18歳の選手たち5人。二人が「頑張ってください!」と声をかけると、「100%勝ちます」とのお答え。おおー。凄い自信!

そして11時の予定だった試合が始まったのは、結局13時30分から。さすがタイです。でも、試合内容は全くユルくありませんでしたよ。2セット先取で行われたチャイナット県の高校との準決勝は、第1セットが21-12、第2セットが21-10。試合時間も30分足らずで全く危なげなくスワンクラーブ・ウィタヤライ・ランシット校が勝利を収め、決勝に駒を進めます。

ちなみに人生初めてのセパタクロー観戦。やっぱりすごかったです。宙返りしながらすごい勢いで放たれるアタック、さらにそれを足で完璧にコントロールしちゃうレシーブ……あんなに小さくて固いボールなのに……ナンダコレハ。キャプテン翼とか、少林サッカーの世界がリアルに繰り広げられてます。人間の足って、あんなに器用にできてましたかね。圧倒的なテクニックです。これは面白い。そしてさらに、このスワンクラーブ・ウィタヤライ・ランシット校の勝ち方にも呆気にとられました。相手校とレベルの差がありすぎるというか……これってホントに全国大会の準決勝だよね?という感じ。勝っても選手たちには全く浮わついた様子も無いし。こんなチームの練習に混じって、果たして大丈夫なんでしょうか。がんばれヒガ君・ヒロタ君! それしか言えません。

イサーンといえばガイヤーンなので。ペン・ガイヤーン・カオ・スワン・クワーン。

September 2[Thu], 2010 14:15

というわけで、やっとお昼ごはんの時間です! 向かったのは会場近くにあったイサーン料理のお店、ペン・ガイヤーン・カオ・スワン・クワーン。イサーンソーセージはじめ、ソムタム(パパイヤ・サラダ)、ガイヤーン(タイ風焼き鳥)、アヒルのラープ(挽肉をハーブや野菜と和えたもの)などイサーン独特の料理を満喫。辛さを抑えてもらいましたので、辛いものがそれほど得意でないというヒガ君も満足の様子。ちなみに、変わったところでは、ワニ、イノシシ、カエルなんかも食べられるらしいですよ。この時も6人で食べて643B。これまた安いです。

スポーツマンはモテる!? ワット・ノンウェン。

September 2[Thu], 2010 15:08

食後はコーンケン市民の憩いの場というブン・ケーン・ナコーン湖のほとりにある寺院、プラ・マハタート・ケーン・ナコーン(地元名はワット・ノンウェン)へ。こちらは9階建て高さ80mという、巨大かつ美しい四角錐のフォルムが印象的な仏塔が有名です。もちろん内部は登ることができるようになっていて(それぞれの階にはそれぞれのテーマに沿った展示物が)、最上階からはコーンケン市内を一望! 素晴らしい見晴らしが! ……と二人の姿が見当たりません。

若い二人は、いつの間にやら地元の女子学生の集団に声をかけられ、だいぶん嬉しそうに写真を撮られてます。市内を移動する間も、それほど観光客らしき姿を目にすることはなかったから、まだ外国人も多少は珍しいのかもですね。

練習にちょこっと参加。

September 2[Thu], 2010 17:10

一度ホテルに戻って用意を整えた後、さきほどのスワンクラーブ・ウィタヤライ・ランシット校がキャンプを張る地元の高校へ。練習できる服装に着替えたヒガ君とヒロタ君は、できるところまで彼らの練習に参加させてもらうことに。

プラチャーン監督に聞いたところ、スワンクラーブ・ウィタヤライ・ランシット校のセパタクロー部員は41人。日曜日以外の週6日、一日3時間の練習をしているのだとか。今回の大会に帯同している5人の選手たちは、18歳クラスにして、既にそれぞれ10年くらいのキャリアを持ってるらしいです。

練習はストレッチからはじまって、日本のサッカーでもウォームアップなどで行う「鳥かご」へ。もちろん使うボールはセパタクロー用のもので、ツータッチまで、というルールです。グラウンダーのパスを使っての練習だったため、それほどサッカーとの違和感もないですね。二人もなかなか順調にこなします。ヒガ君が股抜きを見せて盛り上がる場面も。

続いては、二人一組になり、ボールを浮かせてのキャッチボール練習(もちろん足で)。プラチャーン監督いわく、セパタクローの練習は、まずディフェンスから!ということで、ボールを足元におさめるこの練習が、最も基本となる技術だという。確かにこれが確実にできないと、セパタクローは成り立ちませんね。最初はボールタッチやトラップで慣れないように見えた二人も、5分、10分と時間が経過するにつれ、徐々にキャッチアップしていっているように見えます。

……とここで、問題発生。二人とも足が痛いとのこと。というのも、セパタクローのレシーブ、トラップは基本的にほとんどが足のインサイド、くるぶしから下の部分を使って行いますが、ボールが樹脂で固く編まれたものなので、やり続けていると結構痛くなってくるのだとか。慣れの問題かもしれませんが、見るからに痛そう……

ちなみにスワンクラーブ・ウィタヤライ・ランシット校の選手たちは、みんなおそろいの白いシューズ。痛みに関係あるかどうかわかりませんが、練習の後、近所で探してみることにしましょう。

足の痛みはともかく、明日は大事な決勝戦ということで、その後選手たちは試合用の練習に入り、二人は見学に回ります。圧巻は、アタック練習。バレーボールのようなネット(高さはおよそ150cm)越しに、次々とアタックが繰り出されます。頭より高い位置でボールを蹴る、なんて当たり前。空中で一回転してのアタックも平気です。「バシッ」「クシャッ」というボールがコートに突き刺さる乾いた音が、次々と体育館の中に響き渡って……しかも、固い床への着地もきれいに足から降りて、バランスを崩すことなくすぐに立ち上がるなんて、ハンパじゃない瞬発力とバランス感覚。呆気にとられる日本チームだったのでした。

そして練習の終わりには、先方へ日本から持ってきたお土産を。付け焼刃ながら二人は、ガイドのエークさんに聞いた片言のタイ語で、「カノム・イ-プン・ヨッドニヨム(日本の有名なお菓子のお土産です)」と言いながら手渡してました。覗きこむと「大阪城サブレ」と「たこやきせんべい」……もうちょっとマシなのなかったんでしょうか。大阪らしいけど。明日の決勝戦を前に、練習に参加させてもらったお礼をし、明後日に、バンコク近郊にある彼らの学校を訪問させてもらう約束をして体育館をあとにしました。

セパタクローシューズをBig Cで買う。

September 2[Thu], 2010 19:00

練習の後は、セパタクロー用のシューズを買いにBig Cへ。タイ全土に展開している、日本にもありそうないわゆる「ショッピングセンター」です。食料、衣料、日用雑貨から電化製品まで、何でも揃うのでみんな大好き。平日の夜というのに、結構な賑わいで、駐車場には、射的の夜店なんかも出てました。

靴売り場に行って探す……と発見! スワンクラーブ・ウィタヤライ・ランシット校の選手たちが履いていたものと色違いではあるけれど、全く同じです。しかもお値段、一足289B。ナショナルチームの選手も履いているモデルが一足1,000円しないとは! なーんて、実はこの靴、とくにセパタクロー専用とかじゃなく、中高生なんかがよく通学用に履いてるキャンバス地のスニーカーです。なんかの加減で調子いいんでしょうか。まあ安いのはいいですね。というわけで、明後日に備え、揃って靴を購入。気を引き締めなおすヒガ君とヒロタ君でした。

この後は、陽気なおばちゃんのいる中華料理店で遅めの夕食をとりホテルへ。長かった一日目もようやく終わり。