Thailand
Globetrotter

テクテクタイランド

Ayutthaya / Chiang Mai

March 19[Thu], 2009

……来ちゃいましたワット・ガイ。

Mar 19[Thu],2009 09:12

朝食の後、アユタヤの郊外にあるワット・ガイから本日はスタート。朝から濃いですけども。実は、この寺院の境内にはちょっと変わった像がたくさん置かれていて、日本のマニアな本でも紹介されています。ええと、なんというか、ちょっと怖いもの見たさというか……。

「このへんです」。運転手さんが車を止めたところは、まあ歴史ある寺院とかそういう感じじゃないですね。境内には、歯をむき出したサルに鞭打たれる人、長いくちばしのカラスに[自粛]をつつかれる人、魔女の館にありそうなでっかい鍋の中で煮えたぎる湯に苦しむ人……どうも生前にした悪い行いに沿って地獄で罰をうけてる人たちの様子を描いてるらしいですよ。だから悪いことはしちゃイカンと。まあ怖いというよりは、どっちかっていうとテーマパークみたいな感じなんですが……えー、うはうは喜んでいるのはカメラマン。私はやっぱり遺跡のほうがいいです。ちなみに境内にはそういうのとは一切関係ない感じで、かわいい仔猫ちゃんとえらい美しい孔雀さん(放し飼い)がおりましたことだけは特記しておきたいと思います。

アユタヤ以前から続く、ワット・マヘーヨン。

Mar 19[Thu],2009 11:18

「地獄」を脱出して、今度はアユタヤ島の東側にあるワット・マヘーヨンへ。ここは、アユタヤがビルマ軍に敗れて滅亡した1767年に、全て焼き討ちにあい、それ以来廃寺となったところ。しかしその60年ほど前に大規模な修復が行われていたらしく、比較的きれいな形が残されているんだとか。

正面の出入り口からは、ふたり並んで歩けるほどのレンガ造りの回廊が。10 mほどあるでしょうか。案内してくれた職員さんによると、この回廊は「王の道」と言われ、王族や位の高い官僚しか歩くことが許されなかったとか。回廊の壁面には白い漆喰の唐草模様のレリーフが残ってました。当時、きっと美しい装飾が施された回廊だったんでしょうね。

屋根のぬけたレンガ造りの本堂の遺跡の少し先には、足元をなにやら動物に囲まれた塔が。こちらはチェディ・チャーンローム(象が囲む仏塔)。言い伝えによると、昔、仏教の経典と象を船に乗せて運んでいたところ、嵐でその船が沈んでしまったそうです。しかし不思議なことに経典だけは、無傷で助かったのだとか。象が自らの命をかけて経典を守った、ということで、以来、タイで象は「お守り」として大事にされていると。残念ながら象のシンボルである鼻のところは構造的に弱いのかみんなもげてしまってます。ぜひもとの姿もみてみたいですね!

うつくしきワット・クディーダーオ。

Mar 19[Thu],2009 12:05

ワット・マヘーヨンから西へ1キロほど行ったところにも美しい遺跡があるとのことで、立ち寄ることにしました。こちらはワット・クディーダーオ。400年続いたアユタヤ王朝後期の大寺院だそうで、アーチ型の入り口から足を踏み入れると、正面に西洋の教会を思わせるレンガづくりの遺跡が見えます。その建物の左手、地面に散った黄色い花びらを絨毯に、おじさんたち3人がご飯やらおかずを広げて食べています。なんだか楽しそうですね。お寺の修復にきてるひとたちでしょうか、それともこの近辺で仕事場があるのかな? 横を通るとにこっと笑いかけてくれました。「時々、ここで食べるんだよ。涼しいし、景色もいいし」

さて、奥へ進むともちろん例によって仏塔や建物跡が並んでいます。建物跡、と言っても屋根はないんですけど。土台が船のように緩やかにせりあがっているもの、8本の大きな柱が空に向かって伸びているもの、2列に並ぶ44のアーチ型窓が並ぶものなど、どれも、凝ったデザインです。中世のヨーロッパ建築にも匹敵するほど美しい柱の彫刻もあります。

見上げると屋根がぬけた天井には、ゆっくりと白い雲が流れていきます。ふと横を見ると、アーチ型に切り取られたアユタヤの風景。この空とこの風景も、ここにずっと変わりなくあるものなんですよね。

来た道を引き返します。さっきのおじさんたち、もう姿が見えないです。仕事に戻ったのかなぁ、と思っていると、黄色い花の木のしたでごろり昼寝。いいですなあ。このゆったりした時間も、ここにずっと変わりなくあるものかも知れません。

リバーサイドレストラン、伊勢エビみたいな川エビ。

Mar 19[Thu],2009 12:40

お腹空いたーと思ったら、もうすぐ13時。アユタヤの島のなかのほうへ戻り、昼食です。アユタヤでは川で獲れる川エビが名物だそうで、じゃあそれ食べようということで、43年の歴史をもつ川沿いのレストラン、ペエ・クルン・カオ・アユタヤへ。

来ましたよ、どーんと。全長30cmほどのエビを、縦に真っ二つにして焼いたんが。これにライムをかけて食べます。それにしてもデカイ。しかも直径1cm長さ20センチ余りのひょろ長い両手つき。大きさ的には華奢な伊勢エビですね。でも確かにおいしい。淡白で甘みがあって。日本ではあんまり川のものって食べないですけど、どれもアロイ!

むかしの象の展示場。

Mar 19[Thu],2009 14:10

さて、アユタヤの繁栄を表すもののひとつといえば、象の数の多さだったそうです。ということで、「象柵(象の囲い)跡」へも出かけることにしましょう。

市内から北へおよそ3.5キロ。牧場っぽいガタガタ道を行くと、右手に赤く塗られた2mくらい丸太の柵が見えてきました。左手には池。そしてそのほとりに象発見。野生の象?と思いきや、柵に沿って奥へ行くと、いるわいるわ、象象象。ざっと50頭はいるのでは! こんなにいっぺんに象ばっかり見るのは初めてです。エレファント・キャンプも併設されているのですね。仔象もいて、かわいいーと見ていると、突然こちらに向かって突進してくるのでビビります。子供といえど巨体ですからね……。あとで水を飲んでるところをそっと撫でてみました。シワシワでザラザラでゴワゴワでガシガシ……でもほんのり温かい表皮。うーんいままで経験がない触触ですね。鼻息は、かなり荒く熱いです。あ、そうそう、象の柵も見なければ。

この象柵、むかしの王様たちが象を見定める展示場みたいなとこでした。柵に囲まれた広っぱがあって、突き当たりには白い塀と建物が。その塀の中央にある幅2mくらいの短い通路を抜けると、白い塀に囲まれた中庭みたいなところにでます。ここが王様たちが象を値踏みするところ。

さきほどの広っぱに象を集めて細い通路から一頭ずつ中に入れ、塀の上から、いい象かどうかを見極めるわけですね。中庭の真ん中には、象の姿をした神・ガネーシャが奉られてたそうです。いい象と判定されたら王様の象に、よくないと判定されたら、元の森に返されたとか。それにしてもです。当時はそんなにあちこちに普通に象がいたんでしょうか。たとえば奈良公園の鹿のごとく。

アユタヤの宮殿はこんなでした。チャンタラカセーム国立博物館。

Mar 19[Thu],2009 15:00

そういえばアユタヤの宮殿って、どんなとこだったんでしょう。ふつうに王宮とか言うとベルサイユ宮殿みたいな、どーんとゴージャスな建物、美しく広々した庭に噴水……なんてキラッキラなイメージなんですけども。ということで、もと王宮、現在は博物館となっているというチャンタラカセーム国立博物館にやってきました。先ほどの象柵から2キロ南下、ちょうど、「島」の北端辺りになります。

入り口を入ると、一面芝生の広々した庭! 野球できそうです。その庭を囲むように、わりにシンプルで東アジア的な入母屋づくりの屋根がかかった建物が数棟、L字型の学校の校舎を思わせる平屋の建物などが配置され、展示室として開放されています。ゴージャスと言うより、清潔でこじんまりした感じかな。どちらかというと、日本の離宮とかああいうほうが近いですかね。お花とかはいっぱい咲いてますけども。日本人的にはとても落ち着きます。アユタヤの歴史を語る仏像や、歴代の王やその家族が使った家具などが展示された室内の床には、ひんやり気持ちいい美しいタイル。廊下にいると気持ちいい風が通ります。庭に目をやると、木々の花、睡蓮が咲いた池。そこを鳩が飛び交って、なんだかちょっと天国っぽいですよ。

「室内の写真はだめです」と、声を掛けてきたのは、お客さんのチケットをチェックする係のお兄さん(甘いマスク)。ここはもともと、アユタヤ18代王が皇太子のために建てた宮殿で、ビルマ軍侵攻時に一度焼き払われたそうです。それをバンコク王朝のラーマ4世がこれを再建されたのだとか。当時はいまの数倍広い敷地だったそうです。私がいま見ているのは、宮殿の一部だけなんですね。十分広いですけどね。

アユタヤでも市場へは参ります。ホアロー市場。

Mar 19[Thu],2009 15:34

アユタヤ王朝当時、都は周辺の地方からたくさんの物品が集まって繁栄したということで、当然アユタヤ時代からある近くの市場に行ってみます。ここはロッブリー川とパサック川の出合う「島」の北東部、ホアロー市場。まずはぐるっとひと回り。食材はもちろん、衣類から子供のおもちゃまで、日々の生活のものならなんでも揃ってます。庶民のための百貨店ですね。

八百屋さんで店番をした女の子が「日本から来たの?」と声をかけてくれました。どうも学校で日本語を習っているらしいですよ。アユタヤ王朝にはあの有名な山田長政がいて日本人町が存在したし、オランダ、ポルトガル、フランスなどなどいろんな国の人も来ていて、あちこちからいろんな言語が聞えてくるくらい国際都市だったそうです。きっと当時、この子みたいに日本語が話せるアユタヤ市民もいたんでしょうねえ。それとも、山田長政はタイ語がペラペラだったのかな?

最後に有名どころを。ワット・プラ・ラームとワット・プラ・シーサンペット。

Mar 19[Thu],2009 16:30

なんてしてる間に時間がなくなってきました。まだ「島」の中にある有名なあれやこれやの寺院見てないです! と、急いでアユタヤの中心にあるワット・プラ・ラームワット・プラ・シーサンペットへ。

ワット・プラ・ラームに到着……なんと入り口が閉まりかけです! お願いします観たいです!と懇願して、なんとか中に入れてもらいました。ここは、アユタヤ王朝二代目の王が建てた寺院で、初代王・ウートーン王の遺骨も納められていたそうです。小走りで見回って次へダッシュ。

ワット・プラ・シーサンペットも閉まりかけでしたが同じくお願いして入れてもらいました。広い。広すぎる。歴史を見るのも、体力と時間の勝負です。夕陽はどんどん落ちてゆき、真っ赤な夕空に、黒々と仏塔がそびえる姿。ああすてき。ここだけ時間が止まっているみたいです。なんて思いながら出口へ。あれ? 閉まってる、鍵が……さっきの入り口のおじさん、バイクでどこへ行こうとしてるんですか!「あら、まだいたんだ」みたいな笑い浮かべて鍵開けてくれました。やれやれ。「あと、30分ほどしたら、ライトアップするから、もうちょっと待ってたら? じゃあね!」だそうです。ライトアップかぁ。幻想的なんでしょうねえ。チェンマイ行きの列車は19:21発。なんとか見てからでも間に合う?よね。

汽車を待つ君の横で僕は。再びタイ国有鉄道アユタヤ駅。

Mar 19[Thu],2009 19:30

いやー、闇の中に金色に浮かび上がる遺跡。ライトアップきれいでした。当時「地上の天国」「まばゆいほどの王国」と詩に詠まれたアユタヤは、こんな風に輝かしいものだったんでしょうか。もちろんライトアップはなかったと思いますけども。

ということでアユタヤの駅に戻ってきました。19:21分発の列車で、一晩かけてチェンマイに向かいます。ところで、ふと時計を見ると時はすでに19:30。もちろん駅には30分前に着きました。事故か何かでしょうか。駅の前の屋台で買った焼き鳥食べながら、やることがまったくないので構内をうろつきます。

そうこうしているうちに19:45、なんかアナウンスが聞こえて、どうやら遅れてますといっている様子。不安そうにしてるのはタイ人以外の旅行者たち。言葉わかりませんからね。てか日本だったら、2分遅れても速攻アナウンスがはいるとこですね。そんで「なんで遅れとるんやーしゃれならんぞー」とか駅員に絡むおじさま(関西人)のひとりやふたり。しかし、タイの人々はなんてゆったりとしてるんでしょう。

ん? なんか視線感じるなと思ったら、足元で、愛想笑い(だと思う)の犬。どうも目的は、私が手にもつ焼き鳥が入ったビニール袋。いやいやそんなに激しく尻尾振ってもこれ私のですから。

夜行特急の夜。

Mar 19[Thu],2009 20:07

はーやっときました。電車に乗り込み、自分の座席、というかすでにベッドになっとしまったところに向かいます。実は寝台列車の旅は初体験! トランクは通路に置いといて、手荷物をベッドに放り投げてから、はしごを上ります。おお男のひとなら肩幅ぎりぎりであろう布団が敷かれた極限スペース。カプセルホテルっぽいですね。こちらの車輌はどうやら大韓民国・大宇重工業製。日本のブルートレインは乗ったことないので違いはわかりませんけども。

とりあえず一息ついて、お腹も空いてるし、食堂車でお食事してみることに。食堂車、わりとにぎわっています。席がないのでファラン(白人)の女性おひとりのところで同席をお願いです。すみません、いいですか?「ええ。もちろん」と笑顔で応じてくれたのは、ダンナさんがタイ人、自身はベルギー出身のジェーンさん。チェンマイでヨーロッパからの観光客のアテンダーをしていて、今日はバンコクへお客さまを送ってきた帰り。いつもは飛行機なんだけど、一度この寝台列車に乗ってみたかったとか。やっぱり列車に乗るといろんな人に出会えます。ジェーンさん、素敵な女性でした。

お食事はカオパッやガパオなどおなじみのタイ料理を。おいしいですけど、熱々のスープものなんかは気をつけてください。けっこう揺れます。

消灯は22時。

Mar 19[Thu],2009 22:00

ベッドに戻ってから寝る前の歯磨きを。あと寝台列車にはシャワーがついていると聞いてたんですけど、どこかなぁと思いながら、客室を出てトイレや洗面所のほうへ行こう……と思ったのですがドアが開きません。あれ自動じゃないの? 取っ手を引いてみてもびくともせず……ぐずぐずしてると、横のカーテンが開いて「右上のボタンを押したら開きます」おおお日本語! ありがとうございます!

で、トイレに入ってみると、シャワーヘッドがふたつ。えー。ひとつは便器の横にあり、これは例のタイ式ウォシュレットですよね。ということは、もうひとつがシャワー。まあシャンプーはムリと。ま、足くらいはと、揺れに耐えながら洗いました。片足になるため、3度ほどピンチになりました。

トイレの前が洗面台。歯磨きして、顔も洗ってと。ベッドに戻り、体はウェットティッシュで拭くと、さっぱりしました。なんだかんだしているうちに、他のベッドのカーテンがどんどん閉まっていきます。どうやら、皆さんもうお休みのよう。じゃ、私もカーテン引いて、おやすみなさい。時刻は22:00。子供並みの早い就寝。寝れるかなぁ……