ホテルの近くをお散歩に。
Mar 21[Sat],2009 8:39散歩の後、ホテルのテラスで朝ごはんを食べながら、本日の計画確認です。チェンマイは古都らしく、美しいお寺だけじゃなくて、傘、陶器、絹といった伝統工芸が盛んなうえ、若い人の間で注目のデザイナーさんも多数活動する街。ということで、チェンマイ文化をたずねて散策へ出かけたいと思います。本音はお買い物ですが。
伝統工芸をめぐるその1:傘の村ボーサーン。
Mar 21[Sat],2009 10:04チェンマイの旧市街地をぬけ、チェンマイ・サンカンペーン通りを東に走ること20分あまり。ここは、ボーサーンというところです。エックさん曰く1000年以上も前から傘をつくってきたことから「傘の村」として知られているそうです。しかし時代とともに需要が減り、このままでは伝統の技術が絶えてしまうということで(どこも同じなんですね)、この「Umbrella Making Center」(傘づくりセンター)がつくられたんだとか。
さて、さっそく奥の工房へ。コの字型の回廊状になって見学できるようになっている工房では、ざっと30人くらいの人が作業しています。ここでつくっている傘は、いわゆる唐傘。材料は紙と木と竹、ですね。
まずは紙漉き。桑の木の皮を一日ゆでて1時間たたき続け、水に溶かすと、ノリみたいなどろどろとした液になります。これを、網戸みたいなもので均等になるよう漉くって、1日干したら紙のできあがり。なるほど、これは、日本でもある方法と同じですよね。次は、持ち手とか傘の骨づくり。木やら竹やらで、ひとつひとつ手づくり。1日8時間せっせとつくっても、ビニール傘サイズで200張りが限度なんだとか。その骨に、さきほど漉いた紙を張りつけます。ノリはタピオカからつくったものだそうですよ。それにしてもです、おばさんたちの器用な手先を眺めていると、人間って、なんでもつくれるんだなあと感心しきり。
あと絵つけも見ていて楽しかったですよ。なんと花や虫から竜や象、果てはドラえもんまで何でも約3分で描いてしまう職人さんがずらりなんです。細やかな筆遣いでリアルかつカラフル! せっかくなのでバックに、愛らしい雀が飛び立つ絵を描いてもらいました!
伝統工芸をめぐるその2:300年の歴史を受け継ぐセラドン焼。
Mar 21[Sat],2009 11:09さて、傘の次は陶器です。ボーサーンと同じくサンカンペーン通りをさらに東へ1.5キロほど行くと、セラドン焼きで有名なサイアム・セラドン工房があります。
タイの焼物には、4種類くらいあるそうです。スコータイ時代にあったサンカローク焼、タイ北部に伝わるサンカローク焼、バンコクではベンジャロン焼、そして、チェンマイのセラドン焼。なかでも、300年ほど前に中国から伝わった青磁・セラドン焼は、シンプルだがとても上品でいまでも人気だそうです。
ということでさっそく工房内を見学。材料は小麦粉みたいにきめ細かい真白な土なんですね。「これは、ランパーン県から運んできます。この土を練り、形をつくっていきます。白い生地だからこそ、釉薬の緑が美しく出るんですよ」とのこと。さらに生乾きの状態でそこへ浮き出しの模様や彫刻を施し、乾燥させます。
次は大きなかめが出てきました。なかには、ちょうどクレープ生地を溶いたくらいの白濁した液が入っています。「これが釉薬です。植物灰からつくったものなんですよ。あの美しい緑色はこの釉薬をつけ1260度の窯で焼くこと。釉薬の配合を変えて、海のような青をつくることもできます」同じ緑や青でもひとつひとつ微妙に色が違うのは窯に入れたときの場所が影響するそうです。「だからこそ、独特の味わいがあるんですよ」とのことでした。それにしても、小さな箸置きから大きな壺までつくられる工房は、どの工程もすべて手作業でした。
見学のあとは併設のショップで完成品を物色。手に取るとぽってりした重みと肌触り。ガラス面の内側に細かいひびが入るのも特徴のひとつとか。日に透かすと宝石みたいですよ。マグカップとか小鉢なんかもお手ごろだしいいなぁ。サラダボールとかも使えそうです。とかさんざん迷って、帰りの荷物の重量を考え、箸置きを買いました。4個でしめて100バーツ。花の透かしがなかなかいいでしょ。
伝統工芸をめぐるその3:しっとりつやつやシルク工房。
Mar 21[Sat],2009 12:09次は、ジョリー・ファム・シルク工房へ。工房では糸紡ぎから機織りまで、シルクがつくられる工程を見学できます。タイには黄色い蚕と白い蚕と2種類いて、それぞれ黄色い繭/白い繭をつくるんだそうですよ。
機織りの様子も見学しました。簡単な柄でも1日ずっと織りつづけてストール4枚分、凝った柄だと1日10センチ程度しか織れないそうですよ。糸の細さを考えると気が遠くなりそうー。できあがりは、下から覗いてみてといわれてしゃがみこみました。生地の表は、織機からみると裏側になっています。なんて鮮やかな色!
タイシルクは、糸が細いから薄くて軽やかに仕上がります。糸がすごく強いから、厚手に織っても使えば使うほど馴染んでくる。美しくて、丈夫で長持ち。ヨーロッパでも昔から人気だそうです。
おしゃれにランチと参りましょう。ジンジャー・カフェ。
Mar 21[Sat],2009 13:04さて、そろそろランチ。Ginger Kaféという、オッシャレーでニホンの女子大生とかが喜びそうなカフェレストランでサンドウィッチなどをいただきました。レトロなテイストをベースに、テーブルごとでデザインの違うソファー、天井にはシャンデリアもありで、中世とベルサイユと英国ファブリックを足して3で割った感じですけど、それがしっくりまとまってます。奥にはブティックもあり、こだわり感じる服やアクセ、雑貨などがおいてあってショッピングも楽しそう。
おしゃれなブティックや雑貨のお店を眺めて歩く。ニマンヘミン通り。
Mar 21[Sat],2009 15:15さて、チェンマイは歴史伝統はもちろん、アート系学校もあるので、昔からデザインなどにこだわったお店が多いらしいです。
と、やってきたのは、ニマンヘミン通り界隈。表通りやそこから派生するソイの両脇には、ふつうの家々に混じっておしゃれなブティックやカフェ、ギャラリーが並んでいます。このところどんどん新しいお店ができてるみたいなので、とにかくぶらぶらとお散歩がてら見て回るのがいいみたい。インテリア雑貨に、アロマキャンドル屋さん、自然素材の紙専門店もあります。どれもデザイン凝ってるし、いいですね! 上質のアジア雑貨という感じです。かわいいポーチ、お土産にいいなぁ。山岳民族の人の刺繍を使ったバッグも色彩鮮やかでかわいいです。このブラウス、もしやシルク! ああ目移りしちゃいます。
これぞチェンマイ・アートシーンの底力。AVATAR。
Mar 21[Sat],2009 15:57最後に訪れたのは、AVATARというギャラリーショップ。入り口を入ると、壁が鮮やかなブルーに塗られた中庭。屋内はというと、赤やピンクといった大胆な色調の壁に、アート作品やデザイン雑貨が並びます。ポップな色彩のバランスがよくて、なんだかすごく楽しい気分に!
「このお店においてるものは、みんな若手アーティストがつくったものなんです。実はこのお店、売り上げの15%を恵まれない子供のために寄付をしています。この主旨に賛同してくれたアーティストたちが、作品を置いてくれてるんですよ」と、オーナーのターンさん。単なる商売というより、何か社会的に意味のあることをしたいと思ったんだそうです。ちなみにこのお店の前身ともいうべきターンさんのお父さんのお店“Suriyan Chandra”も、これまたニマンヘミン通りソイ1にあります。こちらも同じく、かわいくておしゃれでごちゃ混ぜなところがたいへんおすすめなのでぜひとも。
古くからある2つの寺院、ワット・チェット・ヨートとワット・ロークモリー。
Mar 21[Sat],2009 16:44チェンマイ空港へ向かう前に、最後に2つの寺院を案内してもらいました。最初は旧市街の北西、さきほどのニマンヘミン通りからほど近い、ワット・チェット・ヨート。チェットは「7」、ヨートは尖塔ということで、つまり7つの尖塔があるお寺、という意味ですね。
こちらは1455年、当時のティロカラート王が、ブッダが2500年前に生まれたとされるインドのマハーボディ寺院をモデルに建てたものだそうです。「ほら、あの壁見て」と言われ、見上げると塔の壁面にたくさんの天女。「美しいね。500年以上も経つのに、ここの天女はオリジナルのまま。ひとつひとつ表情違うのわかる?」と言われて見比べると、確かに。どれも表情や動きが違っています。なんかいまにも音楽が流れて踊りだしそうです。
そして、二つ目でこの旅で最後の寺院は、堀の近くにあるワット・ロークモリー。ちょうど修行中の子僧たちが夕方のつとものひとつである境内のお掃除をしてました。遊び盛りの年頃なのに、修行しているなんて感心しました。
夕陽が目に沁みるぜ、チェンマイよ。
Mar 21[Sat],2009 18:30ということで、これにてバンコクからアユタヤ、チェンマイとやってきた旅もおしまい。遺跡や古いお寺なんかをたくさん見て、歴史とそこへ流れる時間に思いを馳せたせいか、チェンマイの空港から帰りの飛行機に乗ると、タイムトンネル逆行中って感じがしますね。いまさらですが、飛行機だとチェンマイ→バンコクたった1時間ですよ。チェンマイに来る時は、夜行で12時間だったのにね。そんなことを思うと、この旅の4日間、夢を見ていたような気がします。
世界の船が行きかったアユタヤの川、国を治めた王たち、国を守った兵士たち。チェンマイの輝ける寺院や宮殿を歩いた人々、祈りを守った仏や僧侶たち。そして、街を行きかう人々、豊かな品が積み上げられた市場、田畑に実る作物……ただの石ころに見えてもそれが大事なものだったり、ただの原っぱもそのむかし象が行き交っていたはずだったり。タイに流れる何百年もの「歴史」の時間の中で過ごした旅でした。
飛行機が朝の光につつまれるころには、日本でのいつもの毎日がやってきます。お化粧そこそこに朝ばたばたと準備して、駅まで自転車かっ飛ばし、キュウキュウしながら電車にもまれ、やってもやっても終わらない仕事に追われるっていう日々。時には上司からも怒られたりもするしね。でも、です。わたしなんだか、この旅で、自分の中に「ゆっくり時間が流れる[時計]」を手に入れたような気もしてます。
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