スクムパン都知事は、浸水によりバンコク都の一部エリアにおいて住民の多くが十分な水や食料を入手できていない状況を明らかにした。さらに、洪水の影響を受けた地区の職員は手一杯で、住民が必要とするサービスに手が回らない実情がある。そうした事情から、都庁は官民あげてプラナコーン区役所前の市民広場と呼ばれるスペースに調理場を設置した。都知事は報告とともに、広く惜しみない支援を求めている。都庁は、浸水地区の一部エリアにおいて調理あるいは配膳を行うボランティア支援も求めている。
11月3日のチャオプラヤーダムへの北部からの水量は毎秒3,129立方メートルとなり、22立方メートル減少した。バンサーイ地区への流水は毎秒3,008立方メートル、水位は4.01メートルで4cm低下した。11月3日の満潮は午後2時5分で、潮位は1.11mと予測されている。パッククローン市場(ワットポー南の花市場)のチャオプラヤー川の水位は、満潮時には2.28mに達する見込み。ホックワー運河の南側の浸水の水位は1cm低下した。また、トンブリ地区およびタウィーワッタナー水門周辺でも同じく水位が1cm低下している。ランシット運河の水位も同様に低下の兆しが見えている。一方、一部地区の運河では氾濫が報告されている。氾濫が報告されている運河は以下の運河。
・プレムプラチャーコーン運河
・バンケーン運河のウィパワーディー側
・バンスー運河のパホンヨーティン側
・ワット・ラープラオ脇のラープラオ運河
・トンブリ地区のいくつかの運河:マハサワット運河、チャックプラ運河の一部であるバンプロム運河、バンチュアックナン運河、タウィーワッタナー運河とプッタモントン1通り付近のバーンウェーク運河
また、ブッタモントン2通り付近のバンチュアック運河の水位は堤防ぎりぎりまで達している。
同日、都庁はマハサワット運河からの大量の流水により、急激な浸水が懸念されるためバンケー地区に避難勧告を発令した。また、ドンムアン地区、ラクシー地区、バンケーン地区の浸水により、チャトゥチャック地区、バンボーン地区、バンコクノイ地区、パシチャルーン地区においても、貴重品を高い位置に上げたり、安全な場所に移動するよう注意喚起を発令した。
前日11月2日には、都庁はノンカンプルー準地区、ノンケーム地区、セナニウェート第一フェイズエリア、ジョラケーブア準地区の一部に加えて、サイコンディン準地区、サイコンディンタイ準地区、サムワータワンオーク準地区の一部に避難勧告を出した。クロンクワン準地区は注意喚起エリアに指定されている。都庁はマハサワット運河に引き続き流れ込んでいるナコンパトム県サラヤ地区からの流水に今後も注視する。
これまでに都庁はドンムアン地区、ラクシー地区、バンケーン地区、タウィーワッタナー地区、バンプラット地区、タリンチャン地区、バンケー地区の各区に避難勧告を発令していたが、これにチャトゥチャック地区、クロンサムワー地区、ノンケーム地区の一部を新たに加えた。
都知事は、サムワー運河周辺の一部住民により損傷された水門の修復について、都職員とともに200人の警官の保護の下で作業を進めている現場を視察した。作業は完了し、24時間体制で警官を派遣した都警に感謝の意を表した。
同水門が修復されたにせよ、第8、第10運河の水門の開門によりクロンサムワー地区、ミンブリ地区およびその周辺地区に水が流れ込むため、バンコク東部の水位が上昇するのは必至。都庁は、バンコク東部エリアの水位低下のため第8、第10運河水門の閉門に向け、政府洪水対策本部(FROC)と調整を進めている。さらに洪水対策本部は、ホックワー運河からプレムタイ運河の水門にかけての全岸に防水壁の設置を進めている。この堤防の完成によってバンコクの一部エリアでの浸水は限定的となる。この必要不可欠な対策に対して、都庁は洪水対策本部への感謝の意を表している。都庁は、首相の指示の下、引き続き住民への影響を鑑みつつバンコク都内の水位および排水を適切に管理していく所存である。