空を見上げれば高層ビルがそびえ立ち、最先端のショッピングモールが街を彩る一方、歴史的な建造物が点在し、一歩路地に入れば昔ながらの暮らしが営まれ、ノスタルジックな趣も健在……。 バンコクは多彩な魅力で多くの旅行者を惹き付けてやみません。そんなバンコクの魅力を肌で感じるなら、街歩きは最良の方法のひとつ。
街歩きのルートは、観光地を巡るコースが人気ですが、人々の暮らしや文化を感じるなら、定番のモデルコースとはひと味違う、街歩きを楽しんでみませんか?
そこで今回は、バンコク在住者が推薦するとっておき散策コースを3つご紹介します。
地元の人々の日常を感じる!
センセープ運河を下ってワット・サケットへ
ユニークな街歩きを楽しみたいけれど、アクセスの難しいコースだと自信がない方や、時間があまりないという方におすすめなのが、バンコク中心街から地元の人々が通勤通学で利用するセンセープ運河ボートに乗って終点まで行き、黄金の仏塔が目印のお寺「ワット・サケット」を参拝し、最後に有名パッタイ店を訪れる、約2時間半のコースです。
センセープ運河ボートとは?
センセープ運河ボートとは、バンコクの中心部を流れるセンセープ運河を走るボートのこと。渋滞知らずのうえに運賃10〜20THB(約35円〜70円)程度と安いので、地元の人々の通勤通学の移動手段として利用されています。
センセープ運河ボートの利用方法は……1 船着場から目的地方向に進むボートに乗り込む
2 船上の係員に目的地を告げて運賃を支払う
3 目的地の船着場に着いたら素早く降りる
一見簡単そうにも思えますが、船着場での停泊時間が短く、素早い乗り降りが必要なため、慣れない旅行者が利用するのには少々ハードルが高いのが実情です。
ただ、今回のモデルコースで乗船するプラトゥナーム船着場はボートの乗り換えを行うターミナル駅、そして目的地であるパンファーリラート船着場は終点であるため、乗り降り時に急かされることがなく、降りる場所を気にすることなく最後まで乗っていればいいので安心。センセープ運河ボートを初めて利用する方におすすめのコースです。
15 : 30 プラトゥナーム船着場からボートで出発
まずは、BTSチットロム駅からセントラルワールドや伊勢丹などの大型デパートが並ぶラチャダムリ通りを徒歩10分ほど北上したところにある、プラトゥナーム船着場から運河ボートに乗船します。
プラトゥナーム船着場には、運河を挟んで左右に2箇所乗り場があります。運河にかかる橋の上から見て左手が目的地であるパンファーリラート行きのボート乗り場です。
ボートに乗り込んだら、しぶきがかかりにくい中央付近の席を確保するのがおすすめです。ボートから見える運河沿いの景色は、大通りから眺める整った都会のバンコクとはまた違った雰囲気で、バンコクの裏側を覗いた気分で楽しめます。
15 : 50 終点のパンファーリラート船着場へ到着
パンファーリラート船着場に着いたら橋を渡り、ボリパット通りを進むと数分で左手に目的のお寺、ワット・サケットが現れます。
16 : 00 ワット・サケットを参拝
ワット・サケットワット・サケットはアユタヤ時代(1351~1767年)からある、歴史ある寺院です。一番の見どころは、黄金の丘(プーカオトーン)と呼ばれる高さ80mほどの小高い丘。344段のらせん階段をのぼっていくと、最上階には仏舎利のおさめられた黄金の仏塔がそびえ立っています。ここからは、バンコク旧市街を360度全方向にわたって見渡すことができ、素晴らしい景色が眼下に広がります。らせん階段の途中に配置してあるオブジェも趣があり、楽しみながら登ることができます。
17 : 00 パッタイ有名店「ティップサマイ」でパッタイに舌鼓
最後は、ワット・サケットから徒歩10分ほどのところにあるタイ風焼きそば・パッタイの専門店「ティップサマイ」に行ってみましょう。
「ティップサマイ」は毎日行列ができるほどの人気店なので、開店直後の17 : 00をめがけて入店するのがおすすめです。
ティップサマイおすすめメニューはパッタイを薄焼き卵で包んだ「パッタイ・ホーカイ」。濃厚な味付けのパッタイは他店とは一線を画する一品です。ライムをたっぷりしぼって、付け合せのもやしと一緒に食べると、爽やかな味わいに。また、果肉がたくさん入った生搾りオレンジジュースも名物メニューになっています。
・住所:313-315 Mahachai Rd, SamranRat, Pharnakhon, Bangkok 10200
・営業時間:17:00~2:00
・アクセス:パンファーリラート船着場から徒歩8分
・電話: 02-221-6280
バンコク旧市街のレトロな通りを街歩き!
チャルンクルン通りを散策
続いてご紹介するのは、レトロな街並みが残る旧市街地を散策するコース。BTSサパーンタークシン駅から国鉄フアランポーン駅までおよそ3kmをのんびり歩いてみましょう。駅と駅を結ぶルートなので、初めてバンコクを訪れる方でも気軽にトライできます。
チャルンクルン通りとは?
チャルンクルン通りは、バンコクのシンボルであるチャオプラヤー川に沿うようにのびる、長い歴史のある通りです。通り沿いには昔ながらの商店が並び、周辺にはお寺などの建造物や、バンコクを代表する五つ星ホテルが集まっています。さらに最近では、アート・デザイン関連施設やおしゃれなレストランが続々とオープンしていて、バンコクの新旧の魅力を感じることができます。
11:00 BTSサパーンタークシン駅から散策スタート
街歩きの起点となるのはBTSサパーンタークシン駅。3番出口から出ると、正面を横切っている大通りがチャルンクルン通りです。通りをカラフルなトゥクトゥクが勢いよく走り抜け、歩道には屋台が軒を連ね、さっそくタイらしい活気が感じられます。
11:05 お洒落なパッタイ専門店「バーン・パッタイ」でランチ
バーン・パッタイランチはパッタイ(タイ風焼きそば)の専門店「バーン・パッタイ」でいただきましょう。バンコクの有名レストラン「イッサヤー・サイアミーズ・クラブ」を手がけるイッサヤーグループが2016年にオープンした話題の一軒です。青色で統一された店内は、タイの伝統的な食堂の雰囲気が再現されています。レトロなホーローの器で提供されるパッタイは、美味しいだけでなくフォトジェニックな一皿です。
12:10 ワット・スアンプルーを参拝
ワット・スアンプルー腹ごしらえがすんだら、ワット・スワンプルーを参拝。白く輝く美しい本堂と、西洋風の可愛らしい木造建築の対比がおもしろいお寺です。バーン・パッタイから徒歩3分。
・住所:Charoen Krung Soi 42, Bangkok Thailand
・拝観時間:8:00~16:00
・アクセス:BTSサパーンタークシン駅から徒歩10分
12:40 TCDCでバンコクの最旬デザイン&アートに触れる
TCDCバンコク中央郵便局ビルは、現在はデザイン&アートの複合施設TCDC(Thailand Creative & Design Center)として利用されています。ライブラリーとコワーキングスペースはメンバー専用エリアとなっていますが、カフェと屋上スペースは一般の方も自由に利用可能です。カフェで一休みしつつ、タイの最旬デザイン&アートに触れてみましょう。ワット・スアンプルーから徒歩10分。
13:30 ワット・トライミットでお守りを買う
ワット・トライミットさらに進むと、ヤワラー(中華街)の入口である中華街門が見えてきます。そのすぐそばにあるお寺ワット・トライミットには、約700年前に造られたといわれる黄金の仏像が安置されています。本堂の入口付近ではお守りが販売されていて、タイミングが良ければ日本語を少しだけ話す売り子さんがいるので、願い事にあったお守りを買い求めてみてはいかがでしょうか。TCDCから徒歩20分。
14:00 国鉄フアランポーン駅に到着
国鉄フアランポーン駅散策のラストを飾るのは、バンコク最古かつ最大のターミナル駅である国鉄フアランポーン駅です。ドイツのフランクフルト駅をモデルにデザインされたドーム型の駅舎は独特の雰囲気があります。なお、国鉄フアランポーン駅は地下鉄MRTフアランポーン駅に接続しています。ワット・トライミットから徒歩7分。
合計すると3kmほどの距離になるため、途中で休憩をしながら、のんびり散策を楽しむことをおすすめします。
後編では、バンコク郊外の「クレット島」の街歩きをご紹介します。