縁起の良い食べ物~タイ中央部編~
写真:ロッチョン・ナムガティ(ロッチョン麺ココナッツミルクがけ)
縁起の良い食べ物は、タイで代々伝承された文化遺産
タイの結婚式では縁起の良い料理やデザートでゲストをもてなします。タイ語で「キン・サム・トゥワイ
(กินสามถ้วย)」と言い、日本語で「3杯食べる」という意味です。日本のおせち料理のように、食材に様々な意味があるため縁起を担いでおり、タイの結婚式ではこれらのデザートが3種類並びます。
●バジルの種入りココナッツミルク
子孫繁栄を意味するバジルの種は、見た目はまるで「カエルの卵」。たくさんの卵を産むカエルのように子宝に恵まれ暖かい家庭を築いてほしいという願いが込められています。甘いココナッツミルクは甘い愛の生活を意味します。
●ロッチョン・ナムガティ(ロッチョン麺ココナッツミルクがけ)
「永遠の愛」という意味があります。どんな困難も簡単に乗り越えられます。
●ココナッツミルクもち米
新郎新婦の愛の繁栄。ココナッツミルクのように甘い結婚生活を意味します。
●カノム・トーンイブ(Khanom Thongyib)
「トーン」が「金」、「イープ」が「掴む」という意味のため、富やお金をつかむことを意味します。
●カノム・トーンヨード(Khanom Thong Yod)
「トーン」が「金」、「ヨード」が「落として入れる」という意味です。お菓子の形が金の水滴のようなので、一生かけても使い果たすことのできない富とお金を手にするという意味があります。
●カノム・チャン(Khanom Chan)
「チャン」が「階層」という意味のため、昇進・プロモーション祝いや祈願のデザートです。
●メッド・カヌン(ジャックフルーツの種)Med Khanun
緑豆餡を黄身で包んだタイ伝統菓子で、ジャックフルーツの種に形が似ていることでそう呼んでおり、ジャックフルーツは入っていません。ジャックフルーツはタイ語で「カヌン」といいます。「ヌン」が「支える」というタイ語と発音が同じなため縁起が良い果物です。
●カノム・チャーモンクット(Khanom Cha Mongkud)
「モンクット」が「王冠」という意味のため、高貴な名誉を意味します。
小麦粉、黄卵、砂糖、ココナッツミルク、ジャスミンの香り水を混ぜて王冠をかたどったスイカの種と金箔を飾った伝統菓子です。
●カノム・フォイトーン(Khanom Foy Thong)
「フォイ」が「細長い」という意味で、「トーン」が「金」という意味のため、長寿を意味します。
●カノム・トゥワイ・フー(Khanom Thuai Foo)
カラフルな伝統蒸しパン。「フー」が「栄」というタイ語と発音が同じなため、繁栄を意味します。
●カノム・サネーチャン(Khanom Sanei Chan)
黄卵、砂糖、小麦粉、ココナッツミルクなどを混ぜて果物をかたどった伝統菓子です。「サネー」が「魅力」という意味のため、人に愛される魅力を意味します。
これらの意味あるデザートは、ゲストをいたわる意味もあります。なぜなら交通手段が発達していなかった昔は、式場までの道のりは時間がかかったものでした。長い旅路の疲れを癒すという役割もこの甘いデザートにはありました。今では便利に移動できるようになったため、このデザートの効能があまり目立たなくなりました。
レシピ
ロッチョン麺ココナッツミルクがけ(ロッチョン・ナムガティ)
ロッチョン麺:
•米粉35g
•片栗粉15g
•緑豆粉15 g
•パンダンリーフ適量
•水350 g
トッピングのココナッツミルクシロップ材料:
•ココナッツミルク200 ml
•ココナッツシュガー150 g
•塩ひとつまみ
●ロッチョン麺:
1.パンダンリーフを短く切り、水と一緒にミキサーにかけます。細かくなったらこします。
2.鍋に米粉、片栗粉、緑豆粉、1のパンダン水を入れて混ぜます。混ざったら火をかけてなめらかになるまで弱火でかき混ぜます。
※通常は形状固定のためにここででライムウォーターを入れますがなくても作れます。
Red lime stone paste(3-4大さじ)を水1500 mlで溶かして一晩置いた上澄み透明の部分を使います。
3.2の生地をロッチョン調理器具に入れ生地を押し出し、氷水の中で冷やし固めます。
●ココナッツミルクシロップ:
1.ココナッツシュガー、塩をココナッツミルクで溶かして鍋にこします。
2.弱火で軽く沸騰するまでかき混ぜます。火を消し冷まします。
ロッチョン麺に氷またはカキ氷を加えココナッツミルクシロップをかけて食べます。
タイ中央部の結婚式では、結婚式の当日に、新郎側が新婦側への贈り物を持って、新婦の家に向かって行列を作って訪問します。タイ語で「カンマーク」行列といいます。
その行列には豪華な贈り物だけでなく、「ティアブ・アーハーン」と呼ばれる3種類以上のおいしい食べ物も持っていきます。そうめんのような米粉麺の「カノムチーン」、シュウマイのような「カノム・ジーブ」、そして蒸したカレー「ホーモック」などです。
「カノムチーン」は、古くからタイの結婚式ではとても重要な意味を持つ食べ物です。細く長い麺には長寿の意味があるため、取り扱う際は切れてバラバラにならないよう気を付けて取り扱います。付け合わせのもやしには成長と繁栄の意味があります。
「カノム・ジーブ」の「ジーブ」は「ナンパする、誘う」という意味もあるので、出会ったころのような甘い愛を永遠に与えるという縁起の良い意味があります。
ホーモックには「同調して争わない」という意味もあります。タイ語のことわざで「ウーオーホーモック(Er Or Hor Mok)」というのは、仲がいい人同士は喧嘩せずにうんうんと賛成するという意味です。そのため、新郎新婦が結婚生活で喧嘩せず夫婦円満でいるという意味があります。
逆に、結婚式では使わないほうが良い料理は、「トムヤムクン」です。結婚生活で激しく喧嘩するという意味合いがあります。また「発酵魚」は結婚生活が腐ってしまうニュアンスがあるため敬遠されます。「ミーグロープ(揚げビーフン)」もすぐに細かく砕けてしまい縁起が悪いため避けられます。