タイのデザート
タイのデザートは、スパイシーな食事のしめくくりにぴったりな一品ばかり。 通常、シンプルな食事の最後には新鮮なフルーツが添えられますが、特別な日には手の込んだデザートが用意されます。
タイでよく知られているデザート
バナナようかん「クルアイ・クワン」(Gluay Guan)やドライココナッツ「マプラオ・ゲオ」(Ma-prow Kaew)、さわやかな甘さのタロイモチップ「プアックチャープ」(Puek Chap)などは気軽に作ることのできるデザートです。
特に暑い時間帯に好まれるのは冷たいデザート。三色のカラフルな短い麺にココナッツフレークをまぶした「カノム・ドゥアン」(Kanom Duang)や、ピンクのゼリーでくるんだクワイの実をにココナッツクリームをかけた「タップティム・グロープ」(Tab-Tim Grob)は爽やかな一品です。
さらに、地域によってデザートの種類は非常に多様で、タイのカスタード「サンカヤ」(Sangkaya)のように卵を使ったデザートは、ポルトガルの影響を受けています。
東北部では、ココナッツミルクと一緒に蒸したもち米のデザート「カオニャオ・タッド」(Khao Neow Tad)が人気です。 北部では、竜眼の季節になると食べる竜眼入りの甘いもち米デザート「カオニャオピアン・ラムヤイ」(Khao Neow Piang Lamyai)が名物です。南部では、パンダンやバナナの葉を入れ物にしたココナッツミルクプリン「タコー」(Ta-Gow)が人気です。デザートに使うもち米は短粒種のもち米で、北部や東北部では主食として使われています。
バンコクで人気のあるデザートは、緑豆プリン「カノム・モーケン」(Kanom Maw Gaeng)と、黒もち米を火にかけた甘いココナッツミルクの中で混ぜ、バナナの葉っぱ包んで焼いた黒もち米の焼き菓子「カオ・ニャオ・ダム・ピン」(Khao Neow Dam Ping)です。
鮮やかな緑色のバナナの葉の上に、もち米と三日月型に切ったフレッシュマンゴーをのせたデザート「カオニャオマムアン」(Khao Neow Mamuang)も人気です。 甘くて酸っぱいフルーツがもち米を引き立てます。
パパイヤやスイカ、ジャックフルーツ、リュウガン、ライチ、マンゴーなど、多種多様な果物は、皮をむいて切ればすぐに食べられます。中でも、人気が高いのが果物の王様ドリアンです。ドリアンは、「地獄のような匂い、天国のような味」と言われています。 楕円形でトゲがあるドリアンは、タイの暑い時期(4月〜6月)が旬です。ドリアンの季節になると、街中でドリアンの香りがしていて、熟すにつれ味も濃くなります。ドリアンの最高級品は、バンコク近郊のノンタブリー県で収穫されます。
また、祝祭日などの大切なお祝い事の際には、果物や野菜に複雑な彫刻を施したフルーツカービングが宴席を華やかに彩ります。このような彫刻を施すことは、タイならではの文化です。宮廷料理に華を添えてきたフルーツカービングによって、どんな料理も格式高いおもてなしとなります。ゲストへの特別な敬意を表すタイ式おもてなしの重要な要素です。
タイのお菓子やデザートの材料
タイのデザートの一般的な材料は、卵、緑豆、米粉、もち米、蓮の実、パームシュガー、キャッサバの根、タピオカ、カボチャ、さつまいも、ココナッツ、ココナッツミルクなどです。タイ人は、香り付きのデザートを好みます。ジャスミンなどの香りの強い花を水に浸し、香りが移った水を使ってシロップを作ります。そのシロップに、味の薄い種や豆を入れて煮込みデザートを作ります。密閉した容器の中にケーキやクッキーと一緒にアロマキャンドルを焚いて香りをつけたり、香りのよい花の横にデザートを一晩置いたりします。クッキーには金箔を貼ることもあります。また、旬の果物を使ったデザートも数多くあります。
ポルトガルのお菓子をタイに伝えた日系マリー
16世紀、アユタヤ時代にポルトガル人のマリー・ギオマール・デ・ピーニャ(Maria Guyomar de Pinha)がタイを訪れました。マリーは日本とポルトガルの血が混じる女性で、ポルトガル村に住んでいました。彼女はアユタヤの高官だったコンスタンティン・フォールコン(Constantine Phaulkon)と結婚し、紆余曲折の末、王宮の菓子部長となりポルトガルの菓子をタイに伝えました。卵を使った鶏卵素麺「フォーイ・トーン」(Foi Thong)、花をかたどった卵黄のシロップ煮「トーン・イップ」(Thong Yip)、丸い形の卵黄シロップ煮「トーン・ヨート」(Thong Yot)はタイの伝統菓子として今でもタイ人に親しまれています。
タイのデザートの種類
ルーク・チュップ(Luk chup) 緑豆餡のあんこ玉
緑豆の粉と砂糖で餡を作り、本物の果物のようにかたどり、食紅で色を付けゼラチンでコーティングしたお菓子。リンゴやチョンプー、マンゴーなどミニチュア果物のようなデザート。
ローティ・サーイマイ(Roti Sai Mai)綿あめクレープ巻き
屋台で目を引くカラフルなアユタヤ名物のご当地スイーツ。ローティは生地、サーイマイは絹の糸のこと。米粉で作ったクレープ生地にパームシュガーで作った細い糸状の柔らかいアメを包んで食べます。16紀初頭、貿易のために多くのペルシャ人がアユタヤに住んでいたため、「パシュマック」と呼ばれるイランの綿菓子の影響を受けたといわれています。
バービン(Ba Bin)ココナッツパンケーキ
ココナッツ、パームシュガー、もち米粉などで作った生地を焼き上げたタイ中央部の伝統菓子。
カノムジャーク(Kanom Jark)甘い黒もち米の伝統菓子
ココナッツミルクや砂糖で甘く味付けをした黒もち米をニッパヤシの葉に包んで炭火で焼いた香ばしいお菓子です。タイ語でカノム=お菓子、ニッパヤシのことをトン・ジャークと呼ぶので「ニッパヤシのお菓子」という意味。もち米のモチモチした食感とニッパヤシの葉の香りを楽しめる素朴なお菓子です。
サンカヤー(SANG KHA YA) Custard |
カスタード |
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サンカヤー カヌン(MA PHRAO SANG KHA YA) Jackfruit Custard |
ジャックフルーツのカスタード |
マプラオ サンカヤー(SANG KHA YA) Coconut Custard |
ココナッツのカスタード |
ファクトーン サンカヤー(FAK THONG SANG KHA YA) Pumpkin Custard |
カボチャのカスタード |
トーンイップ(THONG YIP) Sweet Egg-petals |
卵黄のシロップ煮。花の形 |
トーンヨート(THONG YOT) Sweet Egg-drops |
卵黄のシロップ煮。丸い形 |
フォイトーン(FOI THONG) Sweet Egg-shred |
日本の鶏卵素麺 |
カノムモーケン(KHA NOM MO KAENG) Egg Sweet Plate |
卵の焼きプリン |
ロッチョン ナムカティ(LOT CHONG NAM KA THI) Pandan Flavored Rice Flour Droplets in Sweetened Coconut Cream Syrup |
甘いココナッツミルクに入った米粉のショート麺 |
クルアイブアチー(KLUAI BUAT CHI) Banana in Coconut Milk |
甘じょっぱいココナツクリームに入ったバナナ |
ルークターンチュアム(LUK TAN CHUAM) Palm Seeds Cooked in Syrup |
扇椰子(おうぎやし)のシロップ煮 |
タコー(TA KO) Gelatin Top with Coconut Cream |
寒天のココナッツクリームのせ |
カオニャオゲオ(KHAO NIEO KAEO) Sticky Rice Cooked in Coconut Cream and Sugar |
ココナッツクリームで炊いた甘いもち米 |
アイスクリームカティ(AI-SA-KRIM KATHI) Coconut Ice Cream |
ココナッツアイスクリーム |