世界遺産の街として知られる古都・アユタヤは、水路に囲まれた水の都。かつて、豊かで華やかな文化を育んだアユタヤ王朝の首都で、点在する荘厳な遺跡や寺院、宮殿、パビリオンが当時の栄華を今に伝えています。いにしえの時を刻んだ遺跡群が夕刻にライトアップされる幻想的な雰囲気やのどかな田園風景、水上マーケットで出会う素朴な人々の微笑みなど、訪れるとその美しい光景が心に沁みいってきます。
今回は「はじめてのアユタヤ旅行」に役立つ情報をご紹介します。
旅の計画を立てよう
ベストシーズン
乾期(11月~3月)、暑期(4月~5月)、グリーンシーズン(=雨期6月~10月)の3つのシーズンに分かれています。乾期は、爽やかな晴天が続くハイシーズンで、日中の暑さ対策は必要ですが、快適に観光が楽しめます。グリーンシーズンは、日本の梅雨のように終日雨が降り続くことはめったになく、集中的にスコールに見舞われることがありますが、雨が上がるとカラッと晴れるといった気候です。
何泊何日がいい?
アユタヤ遺跡の観光、ランチクルーズ、水上マーケットやローカルマーケットでのお買い物など、少し駆け足になりますが1日でまわれます。主なアクティビティをダイジェストで体験できる日本語定期観光バスのバンコク発着のオプショナルツアーが販売されていますので、1日でまわりたい場合は時間の効率を考えてツアーを利用するのがおすすめ。遺跡群の近くにあるバンパイン宮殿に立ち寄るコースもあります。
列車やバスを使って、自分のペースで時間をかけてアユタヤをまわりたい場合は、1泊するとゆったりとしたスケジュールで観光できます。ライトアップまで見たい場合、日帰りの場合はバンコク到着が夜遅くなり、アユタヤに1泊するとライトアップの後にナイトマーケットに立ち寄ったり、リバーサイドのレストランでローカルグルメをゆっくりと堪能するなどのんびりと過ごすせます。バンコクとセットで訪れるのが定番ですので、日帰りか宿泊するかを検討してみてください。
アユタヤで訪れるべき代表的な観光スポット
貴重な歴史的遺産の数々を間近で見て、その迫力を感じることができるアユタヤ。ここでは「はじめてのアユタヤ」でおさえておきたい観光スポットをご紹介します。
世界遺産にも指定されている「アユタヤ遺跡」巡り
アユタヤ観光のハイライトは、荘厳な遺跡群の数々を巡り歴史に触れる体験。苔むした仏塔のチェディ、悠然と横たわる涅槃像、素晴らしい建築美を誇る歴代王の離宮などかつて栄華を極めた古都の壮大な歴史に触れることができます。
アユタヤ王宮内にあった最も重要な寺院「ワット・プラシーサンペット」
3人の王の遺骨を納めたスリランカ様式の苔むした仏塔(チェディ)がわずかに3基残る最も重要な王宮建物のひとつ。日没後はライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれます。
異なる二つの説をもつ謎めいた寺院「ワット・マハタート」
13世紀の重要な寺院のひとつで、仏舎利が納められています。かつでは黄金に輝いていた寺院も、ビルマの侵攻で廃墟に。木の根の間に埋まった仏頭、頭部を切り落とされた仏像、崩れ落ちた礼拝堂の土台が残っています。
サンセットの時間帯に訪れたい美しい寺院遺跡「ワット・チャイワッタナラーム」
アユタヤ西部の川岸に位置するプラサート・トーン王建立の寺院。中央の祠堂と仏塔の保存状態が非常によく、高い塀に囲まれていないため、緑地の中に建つ美しい姿をリバークルーズで眺めることもできます。
優しいお顔の巨大寝釈迦仏像「ワット・ロカヤスターラーム」
広大な草原に悠然と横たわる高さ5m、全長28mの巨大寝釈迦像。1956年に復元されたもので、80歳で入滅した仏陀を表しています。何ともいえない優しげで穏やかな表情に、眺めていると心が安らぎます。
日本とゆかりのある場所「日本人村(アユタヤ日本人町跡)」
16世紀初め、御朱印船貿易に携わった日本人たちが日本人村を築き、最盛期には2,000~3,000人以上もの日本人がアユタヤに住んでいました。当時の日本人町の町長であった山田長政は、22代ソンタム王から官位を与えられるほど大活躍しましたが、1630年に憤死。日本の鎖国で18世紀初めにはこの町も消滅しました。敷地内には、石碑や2007年に日タイ修交120周年記念館が設立され、日本とタイの友好の歴史を知ることができます。
その他のアユタヤの楽しみ方
アユタヤでショッピングを楽しむ
古い街並みを再現したレトロ調の「アヨタヤ水上マーケット」
タイの古い街並みを再現したレトロ調のテーマパークで、施設の名称も伝統的な「アヨタヤ」と付けられています。大きな池の周囲にたくさんの土産店や飲食店が軒を連ねていて、ローカルな雰囲気の中でお買い物が楽しめます。船で約15分水路を巡る遊覧コースもおすすめです。
幻想的な景色がフォトジェニックな「アユタヤ・ナイトマーケット」
毎週金曜日から日曜日の16:00~22:00に開催されていて、ローカルフードやスイーツなどが味わえます。また、あちこちにランプが灯る幻想的な雰囲気の中でのんびりと散策やショッピングが楽しめます。地元の人々の間では、フォトジェニックなスポットとしても人気です。
手頃な価格でお土産などが購入できるローカルマーケット「ゴンコーン市場」
アユタヤの中心地から約11kmのかつて関所があった場所にあります。市場の名前にあるゴンコーンとは“かがむ”という意味で、軒下にずらりと並べられた商品を前に売る人と買う人がしゃがんでやり取りをする様子を表現しています。新鮮な野菜やフルーツのほかに、タイの一村一品運動のOTOP製品が手頃な価格で揃っていて、お土産探しにもおすすめです。
その他のアユタヤのショッピング
アユタヤの必食グルメ
アユタヤの遺跡観光と合わせて楽しみたいローカルフードがいくつかあります。ぜひ味わっておきたいアユタヤの名物グルメをご紹介します。
ぷりぷりとした食感がたまらない肉厚な「川エビのグリル」
アユタヤに行ったら、ぜひ味わっておきたいのがぷりぷりとした食感がたまらない肉厚な川エビのグリル。川沿いに雰囲気のいいレストランもありますので、景色を眺めながらゆっくりと食事が楽しめます。
濃厚な味わいがクセになる小ぶりのお米の麺「クイッティアオ・ルア」
クイッティアオ=お米の麺、ルア=舟の意味で、「舟そば」とよぶ場合もあり、昔は舟で売られていました。舟に乗って売り子さんが一人で売っているので、お椀が小ぶりで量が普通のクイッティアオより少ないため、一度に2~3杯食べる人もいます。また、スープの見た目が濃い色をしているのが特徴。濃厚な味わいで空心菜が入っていて、バジルの葉と小ぶりなケープムー(豚の皮をカリカリに揚げたもの)をのせて食べるのが地元流です。
柔らかい飴をカラフルなクレープ生地で包んで食べる「ローティ・サーイマイ」
アユタヤ名物スイーツといえば、「ローティ・サーイマイ」。アユタヤ歴史公園の近くにいくつかお店があり、バンコクや近郊からのタイの人々を中心に列ができている人気店もいくつかあります。パームシュガーから作られた糸の束のような柔らかい飴を米粉で作ったカラフルなクレープ生地でくるくると包んで食べます。その優しい甘さとクレープのもちもち感は、一度食べたらやみつきに。お土産としても人気ですので、アユタヤを訪れたらぜひ試していただきたい名物スイーツです。
その他のアユタヤのグルメ
アユタヤで体験したい3つのこと
アユタヤを訪れたら、ぜひ体験したいことはこちら。いにしえの歴史を五感で感じる世界遺産の遺跡巡りや栄華を極めた水の都のゆったりとした雰囲気を味わってください。
1、世界遺産にも登録されている「アユタヤ歴史公園」巡り
アユタヤのハイライトは、世界遺産にも登録されている遺跡群を巡る歴史体験。重厚感ある遺跡の数々は見ごたえ十分で、歴史に想いを馳せながら遺跡を眺めていると、アユタヤ王朝時代にタイムスリップした気分に浸れます。夜になるとライトアップされたワット・マハタートなどが昼間とはまた違った幻想的な雰囲気に。毎年12月には、「アユタヤ世界遺産祭り」も開催され、アユタヤが華やかな一大歴史パークになります。
2、クルーズしながら遺跡を眺める「リバークルーズ」
アユタヤ歴史公園を囲むようにして流れているチャオプラヤー川とパーサック川をクルーズしながら遺跡を見学するのもアユタヤならではの体験です。ランチクルーズを出しているホテルもありますので、川から世界遺産の街を楽しむのもおすすめ。リバーサイドに建つ「クルンシー・リバー・ホテル」では、ランチクルーズやリバーサイドの雰囲気の中で食事が楽しめます。
3、ローカルな雰囲気が味わえる「水上マーケット」や「ナイトマーケット」
遺跡巡りのあと時間があれば、レトロな雰囲気が漂うテーマパークのような水上マーケットでお土産物を探してみるのもおすすめです。夜までゆっくり滞在できる場合は、地元の人にも人気のフォトジェニックなナイトマーケットに出かけて、ローカルフードを味わったり、マーケット内を散策するだけでも楽しめます。
その他のアユタヤの観光スポット
アユタヤの公共交通機関
はじめてのアユタヤで、チェックしておきたい交通事情です。バンコクからの日帰りツアーを利用すると車とガイドさん付きで効率的に観光できるのでおすすめ。時間に余裕がある場合は、自由に個人で観光することもできます。
バンコクからのアユタヤへの交通手段
バンコクから列車とバスが運行しています。列車は、バンコク市内のフアランポーン駅からアユタヤまで約1時間20分~2時間で1日約17本。料金の目安は、三等車(座席・椅子)エアコン付きで345バーツ。バスは、バンコク市内のモーチット2バスターミナルからアユタヤまで乗り合いのバンで約1~2時間(05:30~18:00/料金70バーツ~)です。いずれも、現地の窓口にてご確認ください。(※2021年12月現在)
アユタヤでの交通手段
トゥクトゥクを利用する場合の料金の目安は、4~6人乗り1時間チャーター200バーツ~、1日(08:00~17:00)チャーター1,000バーツ~です。遺跡巡りは、08:30~16:30の間は、1時間に1本の割合で観光案内所(Tourist Center)→ワット・マハタート→ワット・プラシーサンペット→観光案内所(Tourist Center)のルートで、約15~20分ほど遺跡をまわるトラムもあります。(料金は現地にて要確認)また、レンタサイクルでまわることもできます。(料金は1日50バーツ~)
旅の注意点
生活習慣にくわえ、国民の約90パーセントが仏教徒のタイは、宗教上の慣習や生活様式、文化が日本とは大きく異なります。事前にポイントをチェックしておきましょう。
■宗教と王室への敬意
タイの人々は、たとえ仏教徒でなくても、宗教全般と王室に対して、深い尊敬の念を抱いて暮らしています。寺院への参拝の際に、男女ともに露出の高い服装は避け、特に女性は僧侶に触れてはいけないということを覚えておきましょう。また男女が寺院内で手をつないだり肩を組むことも慎みましょう。
■水事情
常夏のタイでは、水分補給をしっかり行いたいところですが、生水は厳禁です。ローカルレストランなどで出される水は一度沸騰させたものも多いため、胃腸に自信のない方は有料のミネラルウォーターの方が安心です。
■トイレ事情
レストランやホテルの大半のトイレは洋式トイレですが、公共の有料トイレや田舎の食堂などはタイ式トイレの場合があります。タイ式では、穴の開いている方を後ろにして用を足します。水洗でない場合は、脇にある汲み置きの水を使い、紙は流さずに備え付けのゴミ箱に捨てましょう。
■持ち物
アユタヤ観光の必携アイテムにもいくつかのポイントがあります。強い日差しから肌や髪を守る帽子やサングラス、日傘、日焼け止めなどの日焼け対策グッズは必須。また、寺院観光時には現地の習慣に従い、肌の露出を避けるためカーディガンなどの上着と長ズボンを用意しましょう。寺院では、短パンやサンダルが厳禁の場所もあるので注意が必要です。上着は、室内の冷房対策にも役立ちます。
その他、虫除け、除菌ティッシュや除菌スプレー、マスクなど、旅行全般で役に立つアイテムも忘れずに。電源プラグは、「C」タイプや「BF」タイプ、さらに日本と同じ「A」タイプ。ただし、電圧は220Vと日本と異なるので、製品によっては変圧器が必要になります。ホテルで貸し出してくれるところもありますが、確実に必要な場合は、日本から持参しておくと安心です。