ハーブやスパイスを使ったエキゾチックな味わいと、甘味、辛味、酸味、塩味の絶妙なハーモニーに魅了され、ファンになる人の多いタイ料理。今では日本でも馴染みのある料理となってきたタイ料理ですが、本来は一言では説明できないほどの奥深さがあります。そんなタイ料理の奥深い世界に触れるなら“グルメ”をテーマにタイの地方へ旅に出てみるのはいかがでしょうか?
「タイ・グルメトリップ特集」第一弾は、本場のイサーン料理を求めて北イサーンへ! ”イサーン”とよばれる東北地方の中でも北部に位置するルーイ県、ノーンカーイ県、ブンカーン県、そしてウドーンターニー県の4県を、観光名所の見学も合わせて3泊4日で巡るモデルコースをご紹介します。
《1日目》バンコクからルーイ県へ
10:30 ドンムアン空港から出発
バンコク・ドンムアン空港からルーイ空港までは、エアアジアが毎日2便、その他の航空会社も毎日1~2便運航中。所要時間は約1時間15分。
11:45 ルーイ空港へ到着
12:30地元で人気のレストランでランチ
バーン・ターペー
ルーイ空港から車で約15分。ランチに訪れたのは地元で評判のレストラン「バーン・ターペー(Baan Tha Pae)」。イサーン伝統料理に加えて、タイ全土の料理が味わえる一軒です。シグネチャーは、ルーイ県郷土料理のトーンムーヤーン(豚のグリルと野菜の炒め物)。その他にも、タイ伝統料理に独自のアレンジを加えたミャンカム風サラダやバナナのつぼみサラダが人気です。
14:30 ルーイ県の有名寺院を見学
ランチの後は、ルーイ県の名所である寺院2カ所へ。どちらも参拝することはもちろん、タイの人々の間で「フォトジェニック!」と話題のスポットです。
ワット・パーフアイラー
「ワット・パーフアイラー(Wat Pa Huay Lad)」は1995年に建立された寺院で、“パワースポット”としても知られています。入口に鎮座する真っ白な観音像や本堂の白い仏像が美しく、フォトジェニックな寺院です。
ワット・ソムデット・プールア・ミンムアン
「ワット・ソムデット・プールア・ミンムアン(Wat Somdet Phu Ruea Ming Muang)」は、タイでは珍しくチーク材を全面に用いた仏教寺院です。ラーマ9世(プミポン元国王)の母であるシーナカリン上皇后による支援を受けて2010年に建立され、現在ではルーイ県を代表する寺院となりました。
17:00 チェンカーンのホテルに到着
ルーイ県で宿泊をするなら、メコン川沿いの小さな町・チェンカーンがおすすめです。大自然に囲まれた長閑な町は“癒し系スポット”として近年注目を集めています。
チェンカーンの滞在先は、町一番の繁華街であるウォーキング・ストリートのゲストハウスが人気です。自然をさらに満喫するなら、川沿いのブティックリゾートもおすすめです。
チェンクロン・リバーサイド・リゾート
18:00 ウォーキング・ストリートへ
チェンカーン・ウォーキング・ストリート
メコン川沿いに続くウォーキング・ストリートは、ゲストハウスやレストラン、カフェ、ショップが並ぶ、チェンカーンの目抜き通りです。夕方からはローカルフードの屋台などが軒を連ね、多くの人で賑わいます。屋台で伝統菓子を買って食べ歩きをしてみたり、雑貨を買い物してみたり、のんびり楽しむことのできる場所です。
19:00 メコン川を望むレストランで夕食
フアン・ルアンパバーン
ルーイ県の食文化はラオスの影響を受けており、チェンカーンにおいては古都・ルアンパバーンの食文化が大きく影響しているといわれています。そんなルアンパバーンの食文化を体験できるのがウォーキング・ストリート沿いのレストラン「フアン・ルアンパバーン(Huen Luang Prabang)」です。
発酵魚のフライは、メコン川で獲れた魚を発酵させたものを揚げた料理で、イサーンとルアンパバーンの料理が融合された一品。ナムプリック・ルアンパバーンはルアンパバーン風チリペーストに茹で野菜や豚の皮を揚げたものをつけていただきます。
《2日目》ルーイ県からノーンカーイ県へ
9:00 地元で人気のクイッティアオ食堂で朝食
ラーン・パーブアワーン
朝食は、チェンカーンで地元の人たちに人気のクイッティアオ食堂「ラーン・パーブアワーン(Ran Pa Bua Wan)」へ。ここでは、豚の内臓や野菜、ハーブがたっぷり入ったイサーン地方特有のクイッティアオ”カーオ・プンナームチェオ”を食べることができます。周辺の屋台で売られているカオニャオ・サンカヤー(もち米とカスタードのデザート)は、食後のデザートにおすすめです。
11:00 白い涅槃仏が美しい寺院へ
ワット・パープーゴーン
ノーンカーイ県に向かう途中に立ち寄りたいのが、美しい白亜の涅槃仏で知られる寺院「ワット・パープーゴーン(Wat Pa Phu Kon)」。鮮やかな瑠璃色の屋根が印象的な本堂には、白い大理石で造られた涅槃像が祀られています。その他にも絢爛豪華な造りが各所に見られ、総工費は約19億円ともいわれています。
12:00 川沿いのリゾートホテルでランチ
プーペー・レストラン
ノーンカーイ県メコン川沿いのリゾートホテル「サンコム・リバービュー・リゾート(Sangkhom Riverview Resort)」のレストランでランチ。おすすめのひとつがパッキーマオ風パスタです。パッキーマオとは唐辛子と生胡椒を具材にし太い米麺を炒めたタイ風焼きそばのことで、これをパスタとしてアレンジしたちょっとスパイシーなパスタです。その他にも、タイではポピュラーな淡水魚であるプラーニン(ティラピア)を揚げた料理や、インゲンのソムタムも人気です。
13:30 バナナチップスの工房へ
サーンコームバナナ「メーアーラック」
ノーンカーイ県サーンコーム群の名産品バナナをスライスしてパーム油で揚げたバナナチップスは、OTOPに認定されていてお土産にぴったりです。手作りのバナナチップスは、砂糖やハチミツは一切使用しておらず、自然の甘味が口の中に広がります。町の直売所では、出来立てのバナナチップスや干しバナナを購入することができます。
14:30 ラオスまで一望できるスカイウォークのある寺院
ワット・パータークスア
ノーンカーイ県の高台に位置する寺院「ワット・パータークスア(Wat Pa Tak Suea)」は、町を一望するスカイウォークがあることで知られています。スカイウォークは敷地内からせり出していて、足元は透明な床。ちょっとしたスリルを味わうことができます。メコン川の向こうにラオスの国土が広がる景色は、まさに絶景です。
17:00 ホテルにチェックイン
アマンタ・ホテル・ノーンカーイ
ノーンカーイ県では、中心地のホテルに宿泊。「アマンタ・ホテル・ノーンカーイ」は、メコン川近くに佇むスタイリッシュな一軒。ルーフトップバーが人気で、夕暮れ時には真っ赤な夕日を見ることができます。
18:30 ローカルレストランで夕食
フアン・ハードカム
夕食は「フアン・ハードカム(Huan Haat Kam)」へ。おすすめは魚の味噌”ユープラー”を使ったピザ・ユープラー。地鶏と地元の野菜を少量の水と味噌でじっくり煮込んだオーム・ガイや、イサーン特有のハーブであるバイ・ヤーナーンの葉が入った3種のマッシュルームスープも人気です。
《3日目》ノーンカーイ県からブンカーン県を経由してウドーンターニー県へ
8:30 ラオスとの国境の橋を見学
タイ・ラオス友好橋
ノーンカーイ県は、ラオスと隣接する国境の街。メコン川に架かる「タイ・ラオス友好橋(Thai-Laos Friendship Bridge)」はノーンカーイ県とラオス・ビエンチャンを繋いでいます。長さ1,174mの橋は、車または列車で渡ることができ、電車は1日に2往復。見学に訪れるなら、列車が通過する時間がおすすめです。
11:00 ライフ・コミュニティー・ミュージアム・ブンカーンへ
ライフ・コミュニティー・ミュージアム・ブンカーン
ノーンカーイ県からやってきたのは、77番目に誕生したタイで一番新しい県、ブンカーン県。農業で生計を立てる家庭が多いのどかな町です。「ライフ・コミュニティー・ミュージアム・ブンカーン(Life Community Museum Bueng Kan)」では、ブンカーンの人々の暮らしや文化を学ぶことができます。
ランチは、村のお母さんたちによる家庭料理。イサーン料理のトムセープは、豚肉や牛肉の内臓をこぶみかんの皮やレモングラス、パクチーなどのハーブで煮込むスパイシーなスープ。その他にも、クンチェン(イサーン特有の甘味のあるソーセージ)やコーンのソムタムなど、イサーンの家庭料理を味わうことができます。(要予約)
14:00 ウドーンターニーへ出発
16:00 ウドーンターニーのおしゃれなカフェでケーキタイム
バーン・ナー・カフェ
ウドーンターニー県では、話題のお店「バーン・ナー・カフェ(Barn Naa café)」に寄り道。ケーキはすべてオーナーであるジャムさんのオリジナルで、見た目もさることながら味のレベルも高く、地元の人々はもちろん多くの観光客が足を運ぶ人気の一軒です。
17:30 ホテル到着
ブラウン・ハウス・ホテル
大型商業施設やレストラン、ショップが集まるウドーンターニーの中心地には、他県に比べて様々なタイプのホテルが点在。好みに合わせてホテルを選ぶことができます。
19:00 コーヒーにこだわりを持つ一軒でディナー
ドーズ・エスプレッソ・ファクトリー
夕食は、ウドーンターニー県の中心街にある「ドーズ・エスプレッソ・ファクトリー(Dose Espresso Factory)」で。店名の通り、こだわりのコーヒーが味わえるレストラン&カフェで、ブラジルやエチオピア、さらにはタイ北部チェンライの豆を自家焙煎して提供しています。コーヒーを使ったマルティーニなどのカクテルもユニークです。
料理は、イサーン風のソースを付けて食べるコームーヤーン(豚ネックのグリル)などのタイ料理やスパゲッティ・トムヤム・シーフードといったタイ料理と西洋料理が融合したものなど、幅広くラインナップ。
《4日目》ウドーンターニー県を巡る最終日
08:00 地元の食堂で朝ご飯
キング・オーチャー
中心街に位置する、地元で人気の朝食屋さん「キング・オーチャー(King Ocha)」で朝食。イサーン地方では、朝食にカイガタ(タイ式目玉焼き)を食べるのが定番。カイガタは、目玉焼きの上に豚挽肉や人参のみじん切り、クンチェン(イサーン地方の甘いソーセージ)、ムーヨー(タイのハム)などの具材がのっていて、アルミの小さなフライパンで提供されるのがこの地方のスタイルです。
09:00 ノーンプラジャック公園へ
ノーンプラジャック公園
朝食の後は、ウドーンターニーの人々の憩いの場「ノーンプラジャック公園(Nong Prajak Park)」へ。ノーンプラジャック公園は、ウドーンターニーの中心部にある市民の憩いの場です。人工湖には、巨大なアヒルの家族のオブジェが浮かんでいて、SNSを通して口コミで広がりフォトスポットとして人気になりました。
ウドーンターニー・ミュージアム
ノーンプラジャック公園に隣接する「ウドーンターニー・ミュージアム(Udon Thani Museum)」は、ウドーンターニー県の歴史や文化、地理、環境について学ぶことのできる博物館です。1925年に学校として造られた建物には、様々な展示品がテーマごとに展示されています。
11:00 ホテル到着 チェックアウト
12:00 ランチで珍食材にチャレンジ
チャバー・バーン
グルメトリップ最後の食事で訪れたのは、中心部から車で約10分のイサーン料理レストラン「チャバー・バーン(Chabaa Barn)」。”昔ながらのイサーン家庭料理”をコンセプトに2018年にオープン。イサーンでとれる
食材にこだわって料理を提供しています。
季節によってはこの地ならではの食材、蟻の卵を使ったカイチアオ(タイ風卵焼き)やラープ(ひき肉のハーブサラダ)もメニューに並びます。イサーンの山菜「パッティウ」を使った魚のスープも、郷土料理のひとつ。そのほか、ガイヤーン(鶏の炭火焼)やソムタム(青パパイヤのサラダ)などイサーン料理の定番メニューも人気です。
14:30 バーン・ナカ・シルク・ヴィレッジへ
バーン・ナカ・シルク・ヴィレッジ
「バーン・ナカ・シルク・ヴィレッジ(Ban Na Kha Silk Village)」は、ウドーンターニー県ナカ村で作られたものメインに、タイ全土の絹織物や綿織物が集まっている市場です。服や雑貨なども豊富に揃い、お土産にぴったりな品物も多く並びます。
16:40 ウドーンターニー空港到着
お買い物を済ませたら空港へ向かいます。
17:40 ウドーンターニー空港を出発
ウドーンターニー空港からドンムアン空港までは飛行機で約1時間10分。
18:50 ドンムアン空港に到着
今回は、イサーン地方の中でも最北部のエリアをご紹介しましたが、食文化が豊かなイサーン地方では、地域ごとに郷土料理が存在するまさに美食エリア。まだ知らない美食体験を求めて、イサーン地方へグルメトリップに出かけてみませんか。