地獄寺研究者の椋橋彩香さんクラウドファンディング開始
地獄を表現したタイの寺院、通称「地獄寺」について研究している椋橋彩香さんが、さらなる地獄寺調査のためにクラウドファンディングを立ち上げました。
地獄寺とはタイ全土に点在している地獄を表現したお寺のことです。タイには輪廻転生の考え方が根付いており現世で徳を積むことにより、より良い来世を手にできると信じられています。この徳を積む行為を「タンブン」と呼びます。現世でタンブンを疎かにし悪い行いばかりすると地獄に落ちると言われており、その地獄を教えてくれる場所でもあります。
椋橋さんはこの地獄寺を文化的価値のある場所だと信じて、2016年から現地調査を行っている地獄寺研究者で、今回のクラウドファンディングではタイ南部にあるお寺を集中的に調査予定です。
クラウドファンディング詳細
プロジェクト名 | タイの地獄寺研究をするために、現地調査を支援してください! |
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期間 | 2024年1月24日(水)~2024年2月29日(木) |
URL | プロジェクトサイトはこちら |
SNS | タイの地獄寺 X(旧Twitter) タイの地獄寺 インスタグラム タイの地獄寺 YouTube |
はじめまして。地獄を表現したタイの寺院・通称「地獄寺」について研究している「地獄」こと椋橋彩香(くらはし・あやか)と申します。
私は、タイにある「地獄寺」という場所が文化的価値のあるものだと信じて、2016年から現地調査を行なっています。
現時点で100か所以上の寺院を調査しており、現代におけるタイの地獄表現がどのような特徴をもっているのか、少しずつわかってきました。その成果は、2018年に拙著『タイの地獄寺』(青弓社)にまとめることができました。しかしながら、タイの地獄寺研究だけで生活を営むことは難しく、現在、資金難のため調査研究の継続が困難な状態にあります。
今後の地獄寺研究の発展のためにも、タイに現地調査に行くための資金の支援をお願いしたいです。
地獄寺紹介
椋橋さんの著書「タイの地獄寺」でも紹介されているバンコクから日帰りで行ける地獄寺を2か所、紹介したいと思います。
ワットムアン
アユタヤ県に隣接するアーントーン県の水田地帯にそびえ立つ高さ93mの黄金の巨大仏像が目印の寺院。仏像を正面から見上げられる位置に地獄で責め苦を受けている様子を模したレプリカ像が区画されている。
ワット・ガイ
1980年にアユタヤ県とアーントーン県を結ぶハイウェイ沿いに建立された寺院。もともと野生の猿が生息する盛だったところを寺院にしたため境内には猿が住んでいる。ここにも生前の悪い行いにより地獄で罰を受けることになった人たちのレプリカが多くある。
タイの地獄寺は、20世紀後半に生まれた比較的新しい文化です。
そのルーツは古来寺院壁画に描かれてきた地獄絵で、タイの人々はそれを指しながら「悪いことをするとこうなる、だから善い行いをしましょう」と学んできました。その姿勢は今も受け継がれ、地獄絵が3D化したものが地獄寺だということができます。
タイの地獄寺はキッチュでグロテスクで、日本ではずっと珍スポットやB級スポットのように認識されていました。
しかしながら近年、地獄寺は教育のためにつくられた場所であることがわかり、また観光地としても人気が出てきました。地獄の亡者たちがいる空間に入ることで、自分も地獄を体験できるユニークな場所です。
今回のクラウドファンディングをきっかけに、少しでも地獄寺に興味を持っていただけたら幸いです。
先に紹介したワット・ムアンやワット・ガイは、バンコクからも日帰りで行ける数少ない地獄寺なので、ぜひ訪れてみてください!