TATとUNDP、タイの持続可能な観光強化で協力
タイ国政府観光庁(TAT)は、2020年6月5日の世界環境デーに国連開発計画(UNDP)と覚書を交わし、長期的で持続可能な観光戦略開発実現ための協力を表明しました。新型コロナ収束後、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)と、地域密着型の観光=「ニューノーマル(新しい日常)」実現のための動きです。
TAT創設60周年記念事業のハイライトの1つともいえる、UNDPタイ代表レナウド・マイヤー氏(Renaud Meyer)とTAT総裁ユタサック・スパーソーン(Yuthasak Supasorn)の覚書には、「復元と改革(Restore and Reform measures)」を基本とした次の内容が含まれ、今後タイの観光産業への信頼復元を強化していきます。
2.タイの観光産業全体がSDGsに従って持続可能な観光を推進する
3.タイでの持続可能な観光経営の経験を他国と共有する
4.持続可能な観光に関する専門家と交流する
TATユタサック総裁は、TATが常に持続可能な観光促進の重要性を認識してきたことに触れ、「UNDPと協力してこの目標をSDGsと整合させることは、全国の観光製品とサービス全体の品質向上に大いに役立つ」と述べました。また「TAT創設60周年記念の年にこの議題を前進させることは特に重要であり、すべての国連加盟国がSDGs進展を加速する「行動の10年」の始まりを示す」と言及しました。
「タイは優れた観光商品とサービス、人々の親しみやすさとおもてなしで世界中に知られています。しかし将来的には、観光業界の長期的な目標を見失わず、質と量、マーケティングと管理のバランスを改善することが今後の課題です。」とTATユタサック総裁は付け加えました。
UNDPタイ代表レナウド氏は、「観光産業は、タイ国内の重要な経済部門です。価値連鎖は、オンライン予約システムからタイ北部の山岳民族や少数民族まで多岐にわたります。しかし、新型コロナの危機によって地域社会への利益還元の新しい標準を定める必要性が明らかになりました。」と述べました。
観光産業はタイ発展の重要な要素であり、GDPの17%を占め、2019年には440万人の雇用をもたらしています。
TATとUNDPは地域密着型観光の発展と「持続可能な観光へ導く王の知恵」プロジェクトに関する共同作業に基づいて、これまでに太平洋アジア旅行協会(PATA)から大賞を受賞しています。今回協力関係を新たにし、新型コロナ収束後の観光部門の社会経済的評価と回復の計画を立て、生物多様性に基づく観光促進に取り組みます。
TATは戦略として、産業や経済分野で社会的・環境的取り組みを行っており、55県の地方都市の宣伝にも力を入れ、農村部での雇用創出は所得格差減少に貢献しています。