タイの北部地方は、13世紀にラーンナー王朝が隆盛を誇った地域として有名です。一方で雄大な峰々が織りなす山岳地帯が広がり、マウンテンリゾートとしても多くの旅行者を魅了しています。
今回は、タイ北部地方の旅先の中から「チェンマイ」と「チェンライ」についてご紹介します!
「北方のバラ」と称される美しい古都、チェンマイ
街の至る所に寺院があるチェンマイ
北部最大の都市「チェンマイ」は、13世紀にラーンナー王国の首都として栄えた古都。現在は、バンコクに次いでタイ第二の都市として多くの人々が暮らし、世界中から旅行者が集まります。ラーンナー王朝が築いたものを含め約120もの寺院が点在する、タイ仏教信仰の中心地でもあるチェンマイは、寺院巡りや旧市街地の散策が観光の定番。最近ではおしゃれなショップやカフェも増え、旅の楽しみが広がっています。
チェンマイってどこにあるの?
チェンマイへは、バンコクから飛行機で約1時間20分。スワンナプーム国際空港ならびにドンムアン空港からは、タイ国際航空やバンコクエアウェイズ、LCC各社が合計50便以上、毎日運航をしています。(2016年12月現在)
飛行機の他にも、バンコクのファランポーン駅から長距離鉄道で約12〜15時間、バンコクの北バスターミナルから長距離バスで約9時間半〜11時間でアクセス可能です。
ベストシーズンは?
チェンマイのベストシーズンは、11月〜3月と一般的に知られています。この時期は乾期であり、一年間で最も降水量が少なく最高気温は30度ほどで観光に快適な環境になります。ただし北部地方は山岳地帯だけに、昼夜の温度差が大きいのが特徴です。チェンマイでは乾期の早朝は日によっては10度まで気温が低下し、昼間の平均が28度まで上がるので温度差は約15度にもなり、夜はかなり寒く感じられます。5月~9月は雨の量が多くなりますが、緑が豊かでグリーンシーズンとも呼ばれ、ラフティングや川下りなどが楽しめる時期で、山岳地帯の大自然を満喫できる時期になります。
チェンマイの楽しみ方
チェンマイの大本山「ドイ・ステープ」を参拝する
チェンマイ旅行中に必ず訪れたいのが、黄金の寺院「ワット・プラタート・ドイステープ」。中心街から約15キロ西、標高1080mのステープ山頂に建つ寺院は、チェンマイを代表する名所。高さ22メートルの仏塔は黄金に輝き、緻密な装飾に圧倒されてしまいます。“蓮の花と線香を携えて仏塔の周囲を3回歩き、祈りを捧げると叶う”と言い伝えられているパワースポットで、タイ全土はもちろん世界中から旅行者が参拝に訪れます。
テラスからの眺望は絶景
・ 住所:Su Thep, Mueang Chiang Mai, Chiang Mai 50200
・ 時間:8:00~18:00(ケーブルカーは5:30〜19:30まで運行)
・ 詳細:ワット・プラタート・ドイステープ
チェンマイ旧市街地を寺院巡りしながら散策
タイ仏教信仰の中心地、チェンマイを旅するなら、ご利益を願って寺院巡りをするのもおすすめです。滞在中に複数の寺院を一度に周るなら、旧市街地にある代表的な寺院を順番に巡ってみてはいかがでしょうか?
旧市街で押さえておきたい寺院は……
ワット・プラシンチェンマイで最も格式の高い寺院で、旧市街のスアンドーク門の入口に位置しています。本堂の施された繊細な装飾は思わず見入ってしまう美しさ。内部の壁画は、チェンマイの昔の暮らしが描かれていて、タイ北部の伝統芸術の最高傑作との声も。幻想的な姿を魅せる夜のライトアップも必見です。
ワット・チェディ・ルアン旧市街の中心にそびえるワット・チェディ・ルアンは、ワット・プラシンと並んで格式の高い寺院のひとつ。約600年前の完成当時、約86mもあったと言われている仏塔は、現在でもチェンマイで最も大きなもの(現在は約53mほど)。内部には巨大な仏像が安置されています。
ワット・チェンマンワット・チェンマンはチェンマイ最古の寺院で、ラーンナー建築様式を見てとれる代表的な建造物。ラーンナー建築の典型である太いチーク材の柱が並び、15頭の象が支える金色の仏塔も圧巻。壁を彩る色鮮やかな壁画も見応え十分です。
エレファント・キャンプで象とふれあう
雄大な自然に囲まれたチェンマイ郊外には、象の保護育成を目的としたエレファント・キャンプが数カ所あります。エレファント・キャンプで暮らす象は、象使いと共に生活していて、様々な芸やショーを見せてくれます。特に、鼻で筆をもってキャンバスに絵を書く“お絵かきゾウさん”のショーは人気です。
エレファント・ライド象の背中に乗って敷地内を散歩するエレファント・ライドも一度は体験してみたいアクティビティです。もっとじっくり象と向き合うなら、象使いトレーニングプログラムに参加するのもユニークな体験に。半日コースから本格的な2泊3日コースなど複数のコースが用意されています。タイの人々にとって古来より深いつながりをもつ象とのふれあいを楽しんでみてはいかがでしょうか?
・ 住所:Tapae Road, 119/9 1096 Mae Rim District, Chiang Mai 50100
・ 時間:8:00~16:00
・ 詳細:メーサー・エレファント・キャンプ
手工芸品やユニークな雑貨をお買い物
タイ北部地方に伝わる伝統工芸品を買い物するのもチェンマイ旅行の楽しみのひとつ。300年前に中国から伝わった青磁のセラドン焼きや、繊細な模様が印象的なタイシルクもチェンマイの特産品です。最近では、伝統工芸品をモダンにアレンジする若手デザイナーも増え、洗練されたアイテムが並ぶセレクトショップがオープンしています。
独自の文化を育んできた、チェンマイ郊外の山岳に暮らす少数民族の手工芸品も人気です。繊細な刺繍が施されたバッグや小物入れなどのアイテムはお土産にもぴったり。
美しい翡翠色の焼き物「セラドン焼き」セラドン焼きを買うなら、サンカンペーンにある「サイアム・セラドン」の工房兼販売店へ。一流ホテルでも使用されているブランド「サイアム・セラドン」。美しいセラドングリーンの器に魅了されてしまいます。 写真提供:Siam Celadon
・ 住所:38 Moo 10, T.Tonpao Sankampeang, Chiang Mai 50130
・ 電話:(+66) 5 333 1526
・ 詳細:サイアム・セラドン
チェンマイ発の雑貨店「ジンジャー」タイの女性の心を掴んではなさないショップといえば、チェンマイ発の雑貨店「Ginger(ジンジャー)」。本店はチェンマイ旧市街にあり、ニンマーンヘーミン通りにも支店を構えています。ヴィヴィッドな色合いのアイテムはどれもユニークで乙女心をくすぐります。
・ 住所:199 Moonmuang Road, T.Sriphum, A.Maung, Chiangmai
・ 電話:(+66)53-419014
・ 時間:11:00〜22:00(カフェは10:00〜22:30)
・ 詳細:ジンジャー&カフェ
おしゃれストリートに注目その他にも、おしゃれなショップやギャラリー、カフェが軒を連ねるニンマーンヘーミン通りや、ピン川沿いのチャルーンラート通りを散策すればきっとお気に入りのお店が見つかるはず。リーズナブルに雑貨選びをするなら、ワローロット市場やナイトバザールを訪れてみてはいかがでしょうか。
ラーンナー文化が残るタイ最北の街、チェンライ
チェンマイから北に約180kmのところにあるタイ最北の街「チェンライ」は、タイ・ラオス・ミャンマーの3カ国の国境が接するゴールデン・トライアングルを有する街として有名です。ラーンナー王朝最初の都であったことから、現在でもラーンナー文化が色濃く残り、ラーンナー建築様式の建物や寺院も多く見られます。
チェンライってどこにあるの?
チェンライへは、バンコクから飛行機で約1時間20分。スワンナプーム国際空港ならびにドンムアン空港からは、タイ国際航空やバンコクエアウェイズ、LCC各社が合計20便以上、毎日運航をしています。(2016年12月現在)
飛行機の他にも、バンコクの北バスターミナルから長距離バスで約10時間でアクセス可能です。チェンマイからは車で約3時間ほど。
チェンライの楽しみ方
芸術性の高い寺院を巡る
ワット・プラ・ケオチェンライを代表する寺院と言えば、ラーンナー建築様式の美しい寺院「ワット・プラケオ」。現在、バンコクのワット・プラケオに安置されている「エメラルド仏」は、約580年前にこの寺院で発見されました。現在は、信者の寄進によって新しいエメラルド仏が安置されています。
ワット・ロン・クンタイの寺院の中でも唯一無二に個性的な寺院「ワット・ロンクン」はチェンマイ郊外にあります。チェンライ出身の新進気鋭の若手デザイナーによって私設された純白の寺院は、仏教や神話をモチーフにしたデザインが特徴です。
ワット・ロンスアテン通称「ブルーテンプル」と呼ばれる「ワット・ロンスアテン」は、その名の通り、外観も内部も瑠璃色で統一された寺院。本堂には、純白の仏が安置されていて、美しいコントラストを魅せてくれます。
ゴールデン・トライアングルの大自然に癒される
タイとラオスの間を流れるメコン川と、タイとミャンマーの間を流れるルアック川が合流し、3国が国境を接する地帯「ゴールデン・トライアングル」はチェンライでも人気の観光スポット。
近年は人気マウンテンリゾートにかつては、世界最大ケシ栽培地域として名を馳せた一帯も、現在は雄大な自然を活かして、高級ホテルの建つマウンテンリゾートとして変貌を遂げました。古都チェンセーンやラオスのドーンサオ島へのリバークルーズも人気のアクティビティです。
王室ゆかりの場所、ドイ・トゥンを訪れる
チェンライ郊外、ミャンマーとの国境付近に位置する「ドイ・トゥン」は標高2000mのトゥン山を有する山岳地域。故皇太后の別荘があることでも知られ、イギリス式庭園が美しい別荘は、王室関係者の滞在時以外は見学することが可能です。
名産品のコーヒー地の利を活かし、コーヒー栽培が盛んで、その品質の高さから「ドイ・トゥン ブランドのコーヒー」として人気です。お土産に購入するのもおすすめです。
シンハービールが運営するテーマパークで遊ぶ
チェンライの観光スポットとして話題なのが、タイを代表するビール会社「シンハー」が運営するテーマパーク「シンハー・パーク・チェンライ」。広大な敷地には、花々が咲き誇り、しまうまやキリンがいる動物園や、レストラン、グランピング施設が点在。
ジップラインにチャレンジエコ&サスティナビリティをテーマに、ファームツアーやレンタサイクルなどのアクティビティも楽しむことができます。体を思いっきり動かすなら空中を滑走するジップラインにチャレンジしてみるのもおすすめです。
動物園など充実の施設その他にも動物園なども運営しているシンハー・パーク。レストランで樽生のシンハービールを味わうことができるのも、ここを訪れる醍醐味です。
チェンマイ、チェンライでタイ北部料理に舌鼓
辛い料理の多いタイ料理の中でも、北部地方の料理はマイルドなものが多いことが特徴です。アジアの国々との国境に近いことから、ミャンマーやラオス、中国雲南省の影響をうけた料理もあり、独自の食文化を楽しむことができます。
日本人にもファンの多い麺料理「カオソーイ」中でも、タイ北部料理の代表格と言えば「カオソーイ」。ココナッツミルクをベースとしたカレースープにちぢれた卵麺(バミー)を合わせた麺料理で、日本人にもファンの多い料理です。スパイス香るマイルドなスープは思わずハマる美味しさ。具材は、鶏肉や豚肉、牛肉から選べることが多く、付け合わせのタイ風漬物や玉ネギ、ライムをお好みでトッピングすれば、より本格的な味わいに。
様々な料理を味わえる「カントーク」また、お膳の上に、辛いディップや肉、野菜料理、ミャンマー風のカレーといった小鉢が並ぶ「カントーク」もタイ北部ならではの料理。郷土料理を少しずつ食べることができるので、旅行者に人気の料理のひとつです。
穏やかな時間の流れるタイ北部の古都、チェンマイ&チェンライ。のんびりと癒しの旅にでかけるなら候補に入れたい旅先です。