5分でわかる、タイの伝統と歴史を感じる南イサーンの旅

田園風景が広がるのどかなエリアを訪れる
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タイの東北部は「イサーン」と呼ばれ全国77県中20県を有し、タイの国土の約1/3の面積を占めています。豊かな自然に恵まれた広大なエリアでは、住民の多くが農業を営みながら暮らしています。今なお昔ながらの生活をおくる地域も多くあり、“タイの原風景に出合える場所”と言われることも。今回は、そんなイサーンの中でも南部に位置する「南イサーン」の旅の魅力をご紹介します。

南イサーンってどこにあるの?

南イサーンには、ナコーンラーチャシーマー県、ブリーラム県、シーサケート県、スリン県、ウボンラーチャターニー県、ヤソートーン県、アムナートチャルーン県、チャイヤプーム県の合計8つの県が位置しています。

観光地としては、南イサーンで一番大きな都市であるウボンラーチャターニー県や世界遺産カオヤイ国立公園を有するナコーンラーチャシーマー県が有名です。

イサーンの玄関口、ナコーンラーチャシーマー県まではバンコクから車で約3時間。その他、ブリーラム県やウボンラーチャターニー県までは、空路で約1時間前後の距離です。

隣国の影響を受けながら歴史を刻み、独特の文化を育んできた南イサーンでは、タイの歴史、文化を学ぶ旅を楽しむことができます。さらに、郷土料理であるイサーン料理を味わってみたり、最近ではスポーツ観戦を楽しむ旅にも注目が集まっています。

旅の魅力 その1、「クメール遺跡」を巡る

カンボジアに隣接する南イサーンには、クメール帝国時代に創建されたクメール建築の遺跡が数多く存在します。細かい装飾が施された美しいクメール様式の遺跡は、人気の観光名所です。

神々の姿が彫られた神殿「ピマーイ歴史公園」


ナコーンラーチャシーマー県にあるピマーイは、国内最大規模のクメール遺跡が残る町。ピマーイ歴史公園では、クメール風の顔立ちをした仏陀やヒンドゥー教の神々の姿が彫られた神殿を見学することができます。ピマーイ歴史公園の遺跡群は、カンボジアのアンコールワットのモデルになったともいわれ、タイ東北部の小国家とクメール王朝をつなぐ宗教的な意味合いのある場所だったと伝えられています。

 

美しい彫刻の細部を見ることができる「パノムルン歴史公園」


ブリーラム県にあるパノムルン歴史公園の神殿は、10世紀~13世紀頃に、約400年の年月をかけて造られたと言われています。タイにあるクメール遺跡の中で最も保存状態がよいことから、今でも美しい彫刻の細部を見ることができます。死火山の山頂に位置しているため、眼下に美しい農村地帯を望み、天気のいい日は隣国カンボジアとの国境付近まで見通すことができます。

 

その他いくつものクメール遺跡をみることができる


その他にも、ナコーンラーチャシーマー県のパノムワン遺跡、ブリーラム県のムアンタム遺跡、シーサケート県のカオプラヴィハーン遺跡など重要な史跡が点在し、歴史のロマンを感じることができます。

 

旅の魅力 その2、「伝統文化を継承する村々」を訪れる

南イサーンには、古くから大切にされてきた暮らしや伝統文化を継承する村々が点在しています。中には、旅行者が見学できる村もあり、村人は伝統文化を次世代に継承しています。

シルク製品はタイ屈指の品質「シルク村」


ナコーンラーチャシーマー県のパクトンチャイ・シルク村や、スリン県のターサワン・シルク村で生産されているシルク製品はタイ屈指の品質を誇ります。どちらも天然染料で染められた絹を使った最高級品。シリキット王太后が特別にオーダーされていることでも知られています。



パクトンチャイ・シルク村では、独特の何学模様が施された手織り絹布「マットミー」が名産品。さらにバーン・ターサワン・シルク村では、他にはない大がかりな機織機を使い、1416の複雑な行程を4~5人もの織り子が同時に作業することで複雑な紋様を織り成しています。

“象の町”と言われるスリン県「エレファント・ビレッジ」


“象の町”と言われるスリン県で訪れたいのが「バーン・タークラン・エレファントビレッジ」です。約200頭の象がそれぞれ家族の一員として迎えられ村人と暮らしているタークラン村では、象と人間が共存する昔ながらの生活文化を垣間見ることができます。



また、観光客が象たちと触れ合うこともでき、子象の可愛らしい姿を間近で見られるのはタイならではの貴重な体験といえるでしょう。

伝統工芸品の「陶器村」や「バン・パアオ鋳造村」も魅力的な村


さらに、ナコーンラーチャシーマー県のダーン・クイアン陶器村では、約250年前にこの地に移住したモーン族が始めた陶芸の技術が継承されています。また、昔ながらの技法で真鍮の鋳造製品を作るウボンラーチャターニー県のバン・パアオ鋳造村など、伝統工芸品を今に伝える村々が点在しています。

旅の魅力 その3、タイを代表する「伝統的な祭り」へ行く

伝統的な祭りが開催されることで知られている町がいくつも存在する南イサーン。いつもはのどかな雰囲気の町も、祭りの季節は一変。国内外から多くの旅行者が集まり活気が溢れます。

タイの三大祭りの一つ「キャンドル・フェスティバル」(毎年7月)


タイの三大祭りの一つともいわれ、特に規模の大きいものがウボンラーチャターニー県の「ウボンラーチャターニー・キャンドル・フェスティバル」です。毎年7月頃、雨期が始まる頃から雨期が終わるまでの約3ヶ月の間、僧侶が寺院に籠って修行するカオパンサー(入安居)の時期に開催されます。もともとは僧侶が修行する際、信者が読書をするための灯りとして蜜蝋(ろうそく)を寄進していたことがはじまりで、現在ではとても大きく手の込んだ蜜蝋キャンドルの彫刻が披露されるまでに。それぞれに趣向を凝らした蜜蝋キャンドルの彫刻がパレードする光景は圧巻です。


 

タイ全土から200頭もの象が集まる「スリン象祭り」(毎年11月)


“象の町”スリン県で、毎年11月に開催される「スリン象祭り」。期間中は、タイ全土から200頭もの象が集まり、美しく彩られた象のパレードなどの催し物を開催。古くから今に続く、象と人々の暮らしを学ぶことのできるプログラムも用意されています。

豊穣をもたらす豊かな雨の恵みを乞う儀式の「ブン・バンファイ(ロケット・フェスティバル)」


その他、ヤソートーン県やカラシン県などで5月~6月ごろに開催される「ブン・バンファイ(ロケット・フェスティバル)」も人気のお祭り。豊穣をもたらす豊かな雨の恵みを乞う儀式として、派手な装飾が施された50~60本のロケットが空高く打ち上げられます。

壮観なライト&サウンドショーが名物「ピマーイ・フェスティバル」


また、毎年11月に開催される「ピマーイ・フェスティバル」は、ピマーイ遺跡を舞台にした壮観なライト&サウンドショーが最大の見どころ。歴史的建造物を背景にしたパフォーマンスは幻想的で、見ごたえもたっぷりです。

旅の魅力 その4、「イサーン料理」に舌鼓を打つ


イサーン地方の郷土料理「イサーン料理」は、タイの人々の間でも人気が高く、バンコクなどの主要観光都市にも多くのイサーン料理店があります。それでも、本場で食べるイサーン料理は格別です!


イサーン料理の代表格といえば、ソムタム(青パパイヤのサラダ)やラープ(ひき肉とハーブの和え物)、ガイヤーン(鶏の炭火焼)。もち米を蒸したカオニヤオと一緒に食べます。唐辛子が効いた辛い料理が多いのも特徴ですが、素材が活きた料理はどれも滋味深い味わいです。南イサーンでも、それぞれの町で本場のイサーン料理を堪能することができます。宿泊先のスタッフなどにおすすめのお店を尋ねて、地元の人がおすすめする人気店へ出かけてみましょう。また、スリン県とブリーラム県はジャスミン米の名産地でもあります。香り高いジャスミン米もぜひ堪能してみてください。

旅の魅力 その5、「美しい寺院」を参拝する

南イサーンには、インスタ映えするスポットとして人気の寺院があります。中心地からは若干距離があるものの、のんびり出かけてみるのも一案です。

イサーンで唯一インド建築様式を取り入れた寺院「ワット・プラタート・ノンブア」


ウボンラーチャターニー県の「ワット・プラタート・ノンブア」は、イサーンで唯一インド建築様式を取り入れた寺院です。高さ57mのピラミット型の仏塔は、インドのブッダガヤの大仏塔を模したもの。ライトアップ時は仏塔本体が黄金に輝きます。

夜になると幻想的に輝くフォトジェニックな寺院「ワット・シリントーン・ワララーム・プープラオ」


ウボンラーチャターニー県の中心から車で1時間半ほどの場所に位置する「ワット・シリントーン・ワララーム・プープラオ」は、世間一般にはまだあまり知られていませんが、タイの若者の間ではインスタで話題の寺院。本堂の背面に描かれた”ガラパプルック木”と呼ばれる神話の木は、夜になると幻想的な輝きを放ちフォトジェニックです。

 

スポーツ観戦を楽しむことができる「南イサーンの新名所」へ

今までにはなかった新しいテーマをもとにつくられた新名所がブリーラム県にあります。そのテーマとは“スポーツ”。近年“スポーツの町”として変貌を遂げつつあるブリーラム県には最先端の大規模なスポーツ施設があり、スポーツ観戦を楽しむことができます。

 

トップクラスの設備を備える「チャーン・アリーナ」


以前は旅行者もまばらだったブリーラムですが、5年前にタイの強豪サッカーチームである”ブリーラム・ユナイテッド”が本拠地をブリーラムに移してから、注目が集まりはじめました。チームの拠点「チャーン・アリーナ」はアジアの中でもトップクラスの設備を備え、ホーム戦には平均15,000人もの観客が集まり、選手たちに熱い声援を送ります。



スタジアムの回りには、広々とした敷地に飲食店や雑貨店などの店舗が並ぶ屋外型のショッピングモール「ブリーラム・キャッスル」や、モダンでスタイリッシュなホテル「アマリ・ブリーラム・ユナイテッド」も併設されています。

 
 

最先端のサーキット「チャーン・インターナショナル・サーキット」


チャーン・アリーナからすぐのところにあるのが、2014年に完成した最先端のサーキット「チャーン・インターナショナル・サーキット」です。1周4.554kmほどの4つのコースがあり、グランドスタンドからは12あるカーブの全てを見ることができ、初心者でも楽しみやすい設計です。



2018年からバイクレースの世界選手権「Moto GP™」の開催場所に決まったことでも話題になりました。

まだ旅行者にあまり知られていないのどかなエリア、南イサーン。昔ながらの伝統が息づく素朴な町をのんびり旅すれば、今までとは違うタイの魅力に出合えることでしょう。

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