タイの世界遺産
一度は訪れてみたい世界遺産。タイにはユネスコ世界遺産7つ(うち文化遺産4つ、自然遺産3つ)と4つのユネスコ無形文化遺産の登録があります。これらは人類にとって普遍的価値がある場所として過去から受け継ぎ、次世代に受け継ぐため保護されています。旅行者たちが絶賛する、まだ知らない、もしくはもっと知りたい魅力的なタイの世界遺産をご紹介します。
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[ 目次 ]
- 1. 古代都市スコータイと周辺の古代都市群 文化遺産/1991年
- 2. 古都アユタヤ 文化遺産/1991年
- 3. トゥンヤイ・ファイカケン野生生物保護区群 自然遺産/1991年
- 4. バンチェンの古代遺跡 文化遺産/1992年
- 5. カオヤイ国立公園(正式名称:ドン・パヤーイェン・カオ・ヤイ森林群) 自然遺産/2005年
- 6. ケーンクラチャン森林群 自然遺産/2021年
- 7. 古代都市シーテープと関連するドヴァーラヴァディー遺跡群 文化遺産/2023年
- 8. プー・プラ・バート歴史公園 文化遺産/2024年
- タイ古式マッサージ ユネスコ無形文化遺産/2019年
- タイ仮面劇「コーン」 ユネスコ無形文化遺産/2018年
- タイ南部の伝統舞踊「ノーラー舞踊」 ユネスコ無形文化遺産/2021年
- タイの正月のお祭り「ソンクラーン」 ユネスコ無形文化遺産/2023年
1. 古代都市スコータイと周辺の古代都市群 文化遺産/1991年
タイ北部の南端に都を置いたタイ族初の独立国家であるスコータイ王朝は、現在のタイの文化芸術の礎を築いた時代です。アユタヤ王朝よりも古いのですが、レンガ造りの遺跡は保存状態がよく、夕暮れ時や日没後にライトアップされたロマンあふれる光景は迫力満点です。
2. 古都アユタヤ 文化遺産/1991年
バンコクから北へ約76km。チャオプラヤー川とその支流に囲まれた中州にあるアユタヤは、14世紀、この地に400年余りの栄華を誇ったアユタヤ王朝の首都でした。東南アジア諸国との貿易で国際商業都市として繁栄し、多くの荘厳な寺院や黄金に輝く仏塔、優美な王宮が建設されましたが、18世紀に入って度重なるビルマの侵攻により衰退しました。現在残る遺跡群は、アユタヤ歴史公園として整備され、1991年にはユネスコ文化遺産に登録されました。世界中からの観光客でにぎわうタイ随一の観光地です。
3. トゥンヤイ・ファイカケン野生生物保護区群 自然遺産/1991年
バンコクに比較的近いにもかかわらず、自然がそのまま残されている森林で、1991年にUNESCOの世界自然遺産地域に登録されました。その理由の一つは、他に類を見ない生物多様性を維持しており、生息分布の限界地域である種類が多く生息していることです。また、そのうちの28種は国際的な絶滅危惧種であることに加え、少なくとも、東南アジア本土で生息が確認されている哺乳類の3分の1が生息している大変貴重なエリアです。
4. バンチェンの古代遺跡 文化遺産/1992年
ウドーンターニーから東へ約50km、推定紀元前5600年頃~1800年頃にさかのぼる先史時代の貴重な遺跡で1992年に世界文化遺産に登録されました。バンチェンの人々は、国陶、文様陶器、彩色陶器という3つの時代に分けられる稲作・農耕文化をもち、陶器技術も発達したといわれています。
5. カオヤイ国立公園(正式名称:ドン・パヤーイェン・カオ・ヤイ森林群) 自然遺産/2005年
世界自然遺産・カオヤイ国立公園はその85%が森林に覆われ約95種の樹木から成ります。公園内の約40kmのハイキング道では様々な植物相、動物相を観察しながら散策ができます。伸びゆく蔓植物や種類豊かな蘭、膨大な数のイチジクの樹、籐、ヤシ、野生ショウガなどが織りなす美しい眺望のほか、多様な動物相が見られ、野生のゾウやトラ、その他絶滅の危機に瀕した哺乳動物が生息するタイ国内でも数少ない地区のひとつです。
6. ケーンクラチャン森林群 自然遺産/2021年
ケーンクラチャンはタナオスィー山脈全体とペッチャブリー県西部からプラチュアップキリカン県ホアヒンに至るまでの広範囲をカバーするタイ最大の国立公園。多様な大自然の源で、この地域の主要河川であるペッチャブリー川とプランブリー川の源泉です。
7. 古代都市シーテープと関連するドヴァーラヴァディー遺跡群 文化遺産/2023年
シーテープは、現在のペッチャブーン県にあたる地で、スコータイ王朝が勃興する13世紀以前に建設されたと考えられているパーサック川流域にある1,000年以上の歴史を持つ古代の町です。その遺跡を保存するために整備された総面積約4.7㎢の歴史公園は、堀に囲まれた直径約1.5kmの丸い都市、その東側に隣接するやや大きな四角い都市と、ふたつのエリアから成り、いずれも周囲を堀で固めた都市創りや敷地内に発掘・保存されているカオ・クラン・ナイと呼ばれる仏教寺院遺跡などからも、ドヴァーラヴァディー王朝の古代都市と推測されています。
8. プー・プラ・バート歴史公園 文化遺産/2024年
プー・プラ・バート歴史公園は、ドヴァラヴァティ時代のシーマ石(聖域を示す境界石)伝統の最良の代表例であり、世界的に見てもこれほどの規模で石を用いた聖域はコラート高原にしか見られない事が評価されました。氷河の動きや浸食によって形成された巨石の岩屋は、二千年前から崇拝の対象とされ、47の岩絵には人間や動物、幾何学模様が描かれています。仏教が到来した後、7世紀以降にシーマ石が多数設置され、この地域は仏教の聖地としての役割を果たしていました。当時のシーマ石が原位置のまま残っており、この伝統が広がっていたことを証明しています。
タイ古式マッサージ
ユネスコ無形文化遺産/2019年
ゆっくり時間をかけてツボを押し、筋を伸ばす手法を使うタイ古式マッサージは、日本でも人気。インド古来のアユルヴェーダに由来し、仏教とともにタイへ伝わったといわれています。アユタヤ王朝以降、宮廷医師らによって治療法がまとめられ、ラーマ3世(1824–1851年)の命で壁画や鋳像、石版に記録されたものがワット・ポーに残っています。それによると、身体中に張りめぐらされている”セン”と呼ばれるエネルギーラインを刺激することで、本来もっている治癒力や免疫力を高め、身体を活性化することができるというもの。また、「サムンプライ」と呼ばれる各種ハーブが詰まっている蒸したハーバルボールをツボにあてていくことで、より筋肉が和らぎ、血液の循環がよくなる効果があります。
タイ仮面劇「コーン」
ユネスコ無形文化遺産/2018年
タイ仮面劇「コーン」は、ラーマキエンのエピソードを表現するために古代から用いられてきた古典的なタイの演劇形式です。元来は、道化師役と女性役以外の全員が、鬼やサル、男性、神々の頭と顔を象徴する様々な形と色の仮面を着けていました。しかし後に、男性と神の役を演じる演者も、仮面の代わりに冠や先の尖った長いかぶり物を着けるようになりました。
財団法人ユネスコ・アジア文化センターHP:http://www.accu.or.jp/ich/jp/arts/A_THA3.html
タイ南部の伝統舞踊「ノーラー舞踊」
ユネスコ無形文化遺産/2021年
ノーラーは、アクロバティックな踊りと歌で構成されるタイ南部の伝統舞踊です。脚や腕、指の素早い動きが特徴で、南部の伝統的なオーボエがつくりだすメロディーと太鼓の力強いリズムが織りなすテンポの速い曲に合わせて踊ります。演目は仏陀の前世や伝説的な英雄の物語に基づいており、男性でも女性でも、冠や頭飾り、ビーズ、腰に巻いた鳥のような翼、装飾的なスカーフ、鳥のように見える白鳥の尾をつけたようなカラフルな衣装を着て演じます。衣装だけでなく指先から伸びるカールした金属製の長い爪も見どころの一つです。
ノーラー舞踊はタイ南部の人々にとって、文化的・社会的に深い意味を持つ地域密着型の習俗で、500年以上の歴史を持ち、家庭やコミュニティ組織などで継承されています。
タイ正月のお祭り「ソンクラーン」
ユネスコ無形文化遺産/2023年
ソンクラーンとは、太陽の軌道が12ヶ月の周期を終え、新たに白羊宮(おひつじ座)に入る時期を祝う伝統行事です。もともとは、仏像や仏塔、さらに年長者などの手に水を掛けてお清めをするという伝統的な風習が受け継がれて来たソンクラーン。一年で最も気温の上がる季節の、暑さしのぎとしても親しまれてきました。
近年はそれが転じて、街で通行人同士が水をかけあって楽しむ「水かけ祭り」として知られるようになり、バンコクはもちろん、各地で独自のイベントが開催され、これを目当てに多くの旅行者がタイを訪れるようになりました。
尚、現在では、毎年4月13日〜15日の3日間で行うものとされ、タイの祝日にも定められています。